みなし残業制度とは。ブラック企業の目安ではない?
みなし残業制度とは、実際の残業時間に関わりなく毎月一定時間残業したものとして定額の残業代を支払う仕組みのことです。
残業時間が一定時間に達しなくても、定額の残業代は支払われます。
定額の残業代は、「みなし残業代」または「固定残業代」などと呼ばれます。
みなし残業制度を導入するかどうかは企業の自由であり、法律で禁止されているわけではありません。
ただし、労働基準法では「賃金の決定、計算」などに関する事項は、労働契約のとき使用者は労働者に明示し、就業規則にも記載しなければならないと定めています。
つまり、企業がみなし残業制度を導入するには、次の条件を満たさなければならないということです。
- 雇用契約書や就業規則にみなし残業代のことを記載する
- みなし残業時間やみなし残業代の金額を明示する
みなし残業時間は法定労働時間や36協定の範囲内で定められ、みなし残業代は法定の「時間外労働の割増賃金」以上が加算されるのは当然です。
また、みなし残業時間を超える残業が発生すれば、その分の賃金をみなし残業代に加えて支払わなければなりません。
上記の取り扱いが適正に行われていれば、みなし残業制度を導入しているからといってブラック企業であるとはいえないのです。
みなし残業制度のメリットとデメリット
みなし残業制度には、企業や従業員にとってのメリットもあれば、デメリットもあります。
従業員にとってのメリットとデメリットは次の通りです。
● みなし残業のメリット
従業員にとってのみなし残業の主なメリットは次の通りです。
- 残業時間が少なくても残業代がもらえる
- 収入が安定して収支計画が立てやすくなる
- 効率よく仕事をすれば勤務時間を少なくできる
● みなし残業のデメリット
従業員にとってのみなし残業の主なデメリットは次の通りです。
- みなし残業代をもらっているので残業を断りにくい
- 残業時間の管理が甘くなりみなし残業時間を超える残業代が支払われない可能性がある
- 基本給が低くなり賞与や退職金が想定より少なくなる