ブラック企業による「みなし残業」の悪用例3選
みなし残業制度にはメリットとデメリットがありますが、正しく運用されればブラック企業とは言えません。
問題となるのは、制度を悪用する企業があることです。
代表的な悪用例を3つ紹介します。
悪用例1. 「定額働かせ放題」で適正な残業代を支払わない
最も悪質なのは、「残業代を支払っているからいくら残業させてもいい」といって従業員に長時間労働をさせることです。
本来、みなし残業時間を超える残業に対して追加の残業代が発生しますが、従業員にみなし残業代しか支払われないと思わせて残業代を支払わないケースです。
「定額働かせ放題」などという表現をする企業もあります。
また、みなし残業によって残業時間数に対する意識が希薄になり、法律で定める時間外労働時間の上限を超える過重労働が発生するリスクもあります。
悪用例2. 基本給を高く見せる
従業員を募集するとき、みなし残業代を基本給に含めて給与を高く見せようとする企業もあります。
「基本給30万円(みなし残業代を含む)」と記載されていれば、所定労働時間内の給与は「30万円-みなし残業代」となります。
みなし残業代が15万円ならば、本来の基本給は15万円とかなりの低水準になるケースも考えられます。
悪用例3. 募集時にみなし残業制度の説明を曖昧にする
前述の通り、企業はみなし残業について雇用契約書に記載し採用時に明確に説明する義務を負っていますが、説明を曖昧にして不利な労働契約を締結させようとする企業もあります。
ひどい場合は、契約時にみなし残業の説明は一切なく、「基本給+残業代」だと思って入社したら「定額働かせ放題」で使い回されるというケースもあります。
ブラック企業が「みなし残業」を悪用しないよう注意
みなし残業自体は違法ではありませんが、ブラック企業が制度を悪用するケースがあるため注意が必要です。
入社時には基本給と残業代についてきちんと確認するとともに、みなし残業で働いている人は、自分で残業時間をきちんと把握して残業代の未払いがないかをチェックしましょう。
参考資料
西岡 秀泰