蒸し暑い日が続いていますね。電気代の値上がりもあり、エアコンをつけるのをためらってしまいます。

食品の値上げも相変わらず続いているようですね。帝国データバンクの調査によると、6月30日までに判明しているもので、2023年内の値上げ品目数が累計2万9106品目に。すでに前年の累計を超えるようです。

多くの家計を圧迫し続ける値上げラッシュ。同じ勢いで収入も上がれば良いのですが、現実はそうもいきません。

年金生活を送るシニア世代の方たちの不安は、一層大きいのではないでしょうか。

本記事では、いまのシニア世代の年金受給額について見ていきたいと思います。また、意外と知られていない年金から天引きされるものについても解説していきます。

1. 【日本の公的年金制度】「国民年金・厚生年金」の2階建て構造

最初に、日本の公的年金制度について、簡単におさらいしておきましょう。

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出所:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり」(令和5年4月)、厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」をもとに、LIMO編集部作成

出所:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり」(令和5年4月)、厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」をもとに、LIMO編集部作成

日本の公的年金制度は「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造です。それぞれの特徴は以下のとおりです。

1.1 1階部分:国民年金(基礎年金)

  • 加入対象:原則20歳から60歳未満の日本に住む全ての方
  • 保険料:一律(2023年度 1万6520円/月 ※毎年見直し)
  • 年金額:2023年度満額(年額)79万5000円×調整率(※既裁定者:79万2600円)
     ※480ヶ月に未納期間がある場合は差し引かれます

1.2 2階部分:厚生年金

  • 加入対象:主に会社員、公務員
  • 保険料:報酬比例制(標準報酬月額に保険料率を乗じて決定)※事業所と折半
  • 年金額:加入期間や納付保険料によって決定。国民年金に上乗せで支給

国民年金の保険料は一律となるため、満額を受給できるかどうかは保険料の納付状況が影響します。一方、厚生年金は毎月の給料や賞与に所定の適用率と加入期間を乗じて決定するため、個人差が大きいのが特徴です。

2023年度の国民保険の年金額は満額で79万5000円(年額)、ひと月あたり6万6250円です。では、個人差が見られる厚生年金はどれくらいになるのでしょうか。いまのシニア世代の平均受給額から見ていきましょう。

2. 「厚生年金」みんなの受給額はどれくらい?

厚生労働省の「令和3年度 厚生年金・国民年金事業の概況」より、今のシニアの厚生年金の平均受給額を見ていきましょう。

2.1 《厚生年金保険(男女計)》平均年金受給額(月額)

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出所: 厚生労働省「令和3年度 厚生年金・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

出所: 厚生労働省「令和3年度 厚生年金・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

平均年金月額:14万3965円

  • 1万円未満:9万9642人
  • 1万円以上~2万円未満:2万1099人
  • 2万円以上~3万円未満:5万6394人
  • 3万円以上~4万円未満:10万364人
  • 4万円以上~5万円未満:11万1076人
  • 5万円以上~6万円未満:16万3877人
  • 6万円以上~7万円未満:41万6310人
  • 7万円以上~8万円未満:70万7600人
  • 8万円以上~9万円未満:93万7890人
  • 9万円以上~10万円未満:113万5527人
  • 10万円以上~11万円未満:113万5983人
  • 11万円以上~12万円未満:103万7483人
  • 12万円以上~13万円未満:94万5237人
  • 13万円以上~14万円未満:91万8753人
  • 14万円以上~15万円未満:93万9100人
  • 15万円以上~16万円未満:97万1605人
  • 16万円以上~17万円未満:101万5909人
  • 17万円以上~18万円未満:104万2396人
  • 18万円以上~19万円未満:100万5506人
  • 19万円以上~20万円未満:91万7100人
  • 20万円以上~21万円未満:77万5394人
  • 21万円以上~22万円未満:59万3908人
  • 22万円以上~23万円未満:40万9231人
  • 23万円以上~24万円未満:27万4250人
  • 24万円以上~25万円未満:18万1775人
  • 25万円以上~26万円未満:11万4222人
  • 26万円以上~27万円未満:6万8976人
  • 27万円以上~28万円未満:3万9784人
  • 28万円以上~29万円未満:1万9866人
  • 29万円以上~30万円未満:9372人
  • 30万円以上~:1万4816人

※国民年金部分を含む

厚生年金の平均受給額は月額14万3965円でした。
ボリュームゾーンは「8万円以上~9万円未満」「9万円以上~10万円未満」です。「8万円~18万円未満」の範囲内で、バラつきが見られます。やはり厚生年金は個人差が大きいことがみてとれますね。

2.2 《厚生年金保険(男女別)》平均年金受給額(月額)

厚生年金では、大きな男女差も見られます。

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出所: 厚生労働省「令和3年度 厚生年金・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

出所: 厚生労働省「令和3年度 厚生年金・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 男性平均年金月額:16万3380円
  • 女性平均年金月額:10万4686円

※国民年金部分を含む

男女別に見てみると、男性「16万3380円」、女性「10万4686円」と6万円もの差があることがわかりました。

男女差が生じる要因は、いまのシニア世代が現役の頃は、ライフイベントごとに女性が働き方を変えるのが一般的だったことにあると考えられます。

近年は、労働環境の整備、子育て支援制度などが進み、女性もキャリアを積み上げやすい社会になりつつあります。男女差は少しずつ縮まっていくのではないでしょうか。

3. 「厚生年金」から天引きされるもの4つ

いまのシニア世代の厚生年金の平均月額を見てきました。個人差が大きい厚生年金は、”自分は”どれくらい受給できるのかを「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認することができます。

ただし、現役世代の方が確認できる年金額は、あくまでも現時点の加入記録に基づく「予測」の範囲内となります。年金受給開始直前と受給開始後の毎年1月・6月に郵送される「年金振込通知書」で1回に支払われる「年金支払額」の確認が可能です。

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出所:日本年金機構「年金振込通知書」

出所:日本年金機構「年金振込通知書」

年金振込通知書には「額面」や「天引き項目」、「実際の年金額」が記載されています。ここで正確な「手取り額」を知ることができるのです。

厚生年金から、どのようなものが天引きされているのでしょうか。確認していきましょう。

3.1 厚生年金から天引きされるもの【その1】:介護保険料額

40歳から支払いが始まる「介護保険料」は、年金からも天引きされます。介護保険料は、一生涯支払い続ける必要があります。
保険料は所得と住んでいる地域によって異なるため、自治体のホームページなどで確認しておきましょう。

3.2 厚生年金から天引きされるもの【その2】:国民健康保険料・後期高齢者医療保険料

介護保険料と同様に、国民健康保険料や75歳以上になると後期高齢者医療保険料が年金から天引きされます。
こちらも所得と住んでいる地域によって保険料がことなるため、自治体のホームページなどで確認しておきましょう。

3.3 厚生年金から天引きされるもの【その3】:所得税額および復興特別所得税額

社会保険料と各種控除額(公的年金等控除、基礎控除など)を差し引いた後の額に、約5%の税率を乗じたものが所得税として天引きされます。

3.4 厚生年金から天引きされるもの【その4】:個人住民税

個人住民税も天引きされます。所得税と同様に、社会保険料と各種控除額(公的年金等控除、基礎控除など)を差し引いた後の額に対して住民税が課税されます。

4. 「厚生年金」月額15万円の手取額は?

公的年金から天引きされるものについて確認してきました。年金から天引きされること自体、意外だったという方もいるかもしれません。

年金にも「額面」と「手取り額」があることを理解しておけば、老後に慌てることはなくなるでしょう。

ご参考までに、厚生年金の男女全体の平均受給額が「14万3965円」でしたので、約15万円として「月額15万円の手取り額はいくらになるのか」を確認しておきます。

想定:月額15万円=年額180万円、社会保険料は16万円

◯所得税:180万円ー公的年金等控除110万円ー基礎控除48万円ー社会保険料控除16万円=6万円
   6万円✕5%=3000円

◯住民税:180万円ー公的年金等控除110万円ー基礎控除43万円ー社会保険料控除16万円=11万
 6万円✕10%(6%+4%)=6000円(所得割)
 6000円+5000円(均等割)=1万1000円

年額180万円の厚生年金に対してかかる税金は年額で1万4000円、社会保険料は16万円なので合計で年17万4000円、「月額1万4500円」が天引きされることになります。月額15万円から1万4500円が天引きされると手取り額は13万5500円です。

「月額15万円の厚生年金の手取り額は約13万5000円」

その他の控除があるなど個々で事情は異なりますので、ご参考程度に見ておきましょう。15万円もらえると思っていた年金が、いざ1万4500円も減ってしまうと老後のマネープランが狂ってしまう方もいるのではないでしょうか。

ひと月あたり約1万5000円なら、年間で18万円もの誤差が生じてしまいます。昨今の物価上昇で多くの世帯が貯蓄の必要性を感じたかもしれません。老後を迎える時には、インフレや不足の事態にも対応できるよう、ゆとりをもった備えが必要でしょう。

5. 年金だけに頼らない資産形成を。

本記事では、いまのシニア世代の厚生年金受給額と、年金から天引きされるものについて確認してきました。

平均受給額は男女全体で約14万4000円、女性においては約10万5000円でした。決して十分といえる金額ではないでしょう。

いまのシニア世代がそうであるように、老後生活が始まってから再び物価上昇の波が訪れることも考えられます。

さまざまなケースを想定して、老後に慌てることのないよう備えておきたいですね。

資産形成は、早めに始めることがポイントです。時間をかけることで、無理のない金額でゆっくり資産を積み上げていくことができます。

本記事をきっかけに、ぜひ「老後への備え」の第一歩を踏み出してみてください。

参考資料

和田 直子