4. 「ひとりの老後」に向けた対策4選
ひとりの老後に向けて、賃貸住まいの方も持ち家の方も、何かしらの老後対策が必要になります。
おひとりさまが考えたい老後対策について見ていきましょう。
4.1 まずは老後の不足額を知る
まずは老後に不足する金額を把握することが重要です。
ねんきんネットやねんきん定期便で年金見込額を知り、可能であれば退職金の試算もしてみるといいでしょう。そして老後の生活費として不足する分と、突発的な支出を合計した額に見たない分を、必要な老後資金として算出します。
仮に月々の赤字は4万5000円、老後期間を65歳~90歳とすると、4万5000円×12ヶ月×25年=1350万円の不足となります。
ここに冠婚葬祭費や入院費、介護費用などの突発的な費用を上乗せして、余裕を持ってシミュレーションしておくと安心ですね。
4.2 年金額をアップさせる
厚生年金や国民年金の金額をアップさせることも検討しましょう。会社員や公務員の厚生年金は、年収をあげることや加入期間をのばす(長く働く)ことが対策となります。
また、未納分がある方は追納することも有効ですし、年金の繰下げ受給も選択肢のひとつです。
4.3 生活費をダウンサイジングし健康を維持する
老後に向けて、生活費を徐々にダウンサイジングすることも大切です。定年後にいきなり生活費を下げることは容易ではありません。削れる支出がないか、今のうちに考えておきましょう。
とはいえ、むやみに食費を削れば健康に影響が出る可能性もあります。健康維持は老後対策の重要項目ですので、優先順位はあげておきたいものです。
会社員時代は健診がありますが、退職後に受けなくなってしまう方もいます。自治体の健診やがん検診などを積極的に受けることも重要です。
4.4 老後資金は預貯金以外も視野に
老後資金はすべて預貯金でまかなうのではなく、資産運用や保険なども視野に入れておきましょう。
物価はこのまま上昇するすると、預貯金の価値が目減りするリスクもあります。また低金利下では効率的に増やすことも望めないため、例えばNISAやiDeCoなどを使い、運用をする視点も大事になります。
ただし一定のリスクはあるため、あくまでも余裕資金を貯めてからバランスよく振り分けることが不可欠です。
5. 老後を豊かにできるのは自分自身
実際に男性が受給する厚生年金と国民年金の平均額や、老後の住まいの実態について解説しました。
まだまだ先のことと思っていても、定年退職後の生活は一度じっくり考えておくといいでしょう。老後に向けた準備は、早ければ早いほど有利になります。
住まいについても、賃貸の物件や修繕費の確保などを、できるだけシミュレーションしておくことが大事です。
まずは考えることから始めてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省「家計調査報告 家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要」
- 株式会社R65「高齢者の4人に1人以上が、年齢を理由とした賃貸住宅への入居拒否を経験。収入による差はなし。【高齢者の住宅難民問題に関する実態調査(2023年)】」2023年7月3日
太田 彩子