3. 年金額の目減り対策2つ
年金が増額されても実質的に目減りすることへの対策は、早くから考えておく必要があります。
3.1 対策1.年金を繰り下げ受給して受取額を増やす
年金額を増やす方法として考えられるのが、年金の繰り下げ受給です。年金の受給開始の基本は65歳からですが、75歳までの間で選べます。
年金を繰り下げると年金額は増額され、増額された年金を一生涯受け取れます。
受給開始を1カ月遅らせるごとに0.7%ずつの割り増しになるのです。70歳まで遅らせると42%増、75歳までで84%もの増額となります。
たとえば、65歳からの年金月額が15万円の人が70歳から受け取ると21万3000円、75歳からの受け取りなら27万6000円になります。
繰り下げは長生きリスク対策として有効ではあります。しかし、受給開始からわずかのうちに亡くなってしまうと、65歳から受け取る場合に比べて受け取れる年金の総額が少なくなります。
そのため、いつから受け取るかについて、自分の健康や貯蓄状況を考慮した慎重な検討が必要です。
3.2 対策2.年金を繰り下げる場合は、できるだけ長く働く
年金を繰り下げる場合、受給開始までの収入確保のために働く人も多いでしょう。「高年齢者雇用安定法」により、正社員でなくても65歳までの雇用確保が義務づけられ、70歳までの就業機会の確保が努力義務になりました。
希望すれば60歳以降も働いた収入で生活していくことも可能でしょう。
定年後に厚生年金に加入して働くと、期間や給与に応じて厚生年金の金額が増やせます。たとえば、年間給与250万円で5年働くと年金月額は5100円(年間6万1200円)増額され、繰り下げた年金額にも反映されます。