皆さま こんにちは。アセットマネジメントOneで調査グループ長を務めます柏原延行です。
いよいよ8月に入り、これからが夏本番であると思われます。これから一層暑くなるかもしれず、皆さまご自愛ください。
私は通勤にJR東京駅を利用しているのですが、お子様をつれ、いずれかにお出かけになる家族の姿が7月後半から一段と目に付くようになりました。
我が家では子供も大きくなり、「7月中旬から8月末」までが夏休みだとの感覚は希薄になっており、8月に休暇を取得する予定は立てていません。しかし、先日ある先輩から体調のためにも、夏に休暇を取得したほうがいいとのアドバイスをいただき、「なるほど」と思いました。
かつて、夏休みの旅行前にとても酷い夏バテが続いていて、旅行をあきらめたほうがいいのではないかと考えたことがあるのですが、実際に旅行に出かけたら、体調が回復したことを思い出しました。私の感覚より、夏休みは重要であるのかもしれません。
もし、今夏休みをとるのであれば、(予約の困難さや金銭的な問題は別として)季節が逆の南半球に旅行すると、体調がどうなるのかを試してみたい気がします(先ほど、ネットで豪州シドニーの気温を見ると最低温度は摂氏9度でした)。南半球の冬の気候が夏の疲れを癒やすのか、はたまた、気温の大きな変化に体が順応できないのかは興味深いところです。
さて、本日は商品(コモディティ)の値動きをご紹介します。
商品というと原油の値動きが報道されることが多いように感じますが、原油だけではなく、産業に利用される素材の値動きも投資環境の把握に様々な示唆を与えてくれます。
それでは、①原油、②鉄鉱石、③(鉄などを作る材料である)原料炭、④銅の騰落率を見てみましょう。
これらの騰落率からは、7月の1カ月間の上昇率が大きいことが分かります。特に、鉄の材料である鉄鉱石、原料炭は1割以上も上昇しています(図表1)。
商品の値動きは、需要サイド(例:中国などの輸入国の需要)だけではなく、供給サイドも含め、個別商品毎に存在する様々な事情により決定されます。
しかし、私は足元の商品価格の上昇、特に鉄の材料である鉄鉱石と原料炭の上昇には、足元の中国景気が好調であることが寄与していると考えています。
財新/マークイットが8月1日に公表した7月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は前月の50.4から上昇し、51.1と景気の「拡大と縮小の分かれ目」となる50を上回りました。このことに見られるよう、中国景気は積極的な財政政策のスタンスなどから、「一定程度堅調が続く」と私は考えており、「秋の共産党大会が終われば、急減速する」との見方をとっていません。
中国は、現在でも素材を輸入して製品を製造する世界の工場の側面を持っています。したがって、私の認識通り、中国景気の堅調が継続すれば、鉄鉱石などの価格も底堅く推移すると考えることが素直な結論であると思われます。
そして、このことは、中国に鉄鉱石や原料炭を輸出している豪州の景気にもプラスに働くと思われます。
少し手前味噌となって恐縮ですが、2017年5月16日付けの記事『次に金融政策を転換する国は? 海外投資の機会はどこに』では豪州を取り上げました。
この中では、「私は豪州の金融政策が、米国と同様に政策金利の引き上げに転じる時期が(いずれ)訪れる蓋然性が高くなったと考えています。そして、このことは、円安・豪ドル高要因として働き、本邦からの豪ドルへの投資において有利に働く要因になりうると考えています。(途中省略)豪ドルの動きに、注意を払うことは本邦から海外への投資を考える方にとって、有益ではないでしょうか」(下線は今回追加)という判断をお伝えしました。
「(中期的に見た場合の)豪州の金融政策転換期待」に加え、「中国景気の堅調からもたらされる鉄鉱石などへの需要の底堅さ」が、豪ドルの中長期的なサポート要因として働く可能性があると考えます(図表2ご参照、また豪ドルのリスクに関する認識は上記記事でご確認ください)。
豪ドル高・円安は、投資家の立場では我が国(円)から豪ドルへの投資におけるパフォーマンスの改善要因です。一方で、消費者の立場では(残念ながら)豪州への旅行費用を高くする要因でもあります。
豪州への避暑は想像の中での出来事に終わりそうです。
(2017年8月4日 9:00執筆)
柏原 延行