総務省統計局の人口推計によると、2022年10月1日現在(確定値)の総人口は前年同月に比べて0.44%の減少で、15歳から64歳の生産年齢人口は0.40%の減少となりました(2023年3月20日公表)。

生産年齢人口の減少は年金財政にマイナスの影響が及び、公的年金の給付の減少が懸念されます。2019年に金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」によって老後2000万円問題が提起されて以降、2000万円は老後資金の1つの目安として考えられています。

そこで今回は60歳代で貯蓄2000万円以上準備できている割合や、老後資金対策を紹介します。

60歳代で「貯蓄2000万円以上」の割合とは

最新の公的データから60歳代で貯蓄2000万円以上の割合を見ていきましょう。

60歳代2人以上世帯の貯蓄状況

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」によると、60歳代の2人以上世帯で貯蓄2000万円以上の割合は29.1%です。

【60歳代2人以上世帯の金融資産保有額】

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」各種分類別データより筆者作成

2000万円以上を準備している割合が30%近い反面、貯蓄ゼロ(金融資産なし)も約21%と格差があることがわかります。

平均は1819万円ですが、より実態に近い中央値は700万円です。2000万円以上の割合が高めなため平均が引き上げられ、全体的な貯蓄額にはばらつきが大きいと考えられます。

60歳代単身世帯の貯蓄状況

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」によると、60歳代の2人以上世帯で貯蓄2000万円以上の割合は23.7%です。

【60歳代単身世帯の金融資産保有額】

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」各種分類別データより筆者作成

単身世帯では貯蓄ゼロの割合が30%近くなり、平均は1388万円、中央値が300万円となります。

特に中央値が300万円と2人以上世帯の半分以下であり、1人暮らしで十分な貯蓄のない人も多いことがわかります。