4. 70歳代・遺産に関する本音とは?「財産は使い切る派」も3割超

同調査では「遺産についての考え方」に関する質問があります。70歳代・二人以上世帯の回答結果を確認します。

4.1 「残したい派」45.2%

  • 老後の世話をしてくれるならば、こどもに財産を残してやりたい・・・12.1%
  • 家業をついでくれるならば、こどもに財産を残してやりたい・・・2.3%
  • 老後の世話をしてくれるか、家業を継ぐか等に関わらず、こどもに財産を残してやりたい・・・30.8%

4.2 「社会に役立てたい派」3.9%

  • 財産を当てにして働かなくなるといけないので、社会・公共の役に立つようにしたい・・・1.4%
  • 財産を残すこどもがいないので、社会・公共の役に立つようにしたい・・・2.5%

4.3 「財産を使い切りたい派」36.0%

  • 財産を残すこどもがいないうえ、自分たちの人生を楽しみたいので、財産を使い切りたい・・・10.9%
  • こどもはいるが、自分たちの人生を楽しみたいので、財産を使い切りたい・・・25.1%

4.4 その他:21.3%

こどもはいるが、財産は自分たちの代で使い切りたいと考える世帯の割合は25.1%。一方、何らかの理由で、あとに続く代に財産を「遺したい」と考える世帯は45.2%と、全体の約半数を占めます。

筆者が銀行員時代にお会いしたお客様がたの中にも、できるだけ多くの資産を子どもたちの代に引き継がせたいと考え、相続税対策を行っているシニア世帯が多くいらっしゃいました。とりわけ、「生前贈与」についてのご相談を受けることが多かったと記憶しています。

5. まとめにかえて

今回は、70歳代と40歳代の貯蓄事情を比較したあと、金融資産の高齢化や遺産に関するシニアの本音についても深掘りしました。

生前贈与も相続も、ご自身が築いた財産を思いを込めて次世代に引き継ぐ点では同じです。しかし、生前贈与のメリットの一つは、子ども世代からの感謝の気持ちを直接親世代に伝えることができる点といえるでしょう。

教育、結婚・子育て、住宅取得に用いる資金について一定額までの金額の贈与が非課税となる制度や、「相続時精算課税制度」や「暦年贈与」という仕組みもあります。

こうした制度を活用し、資産継承をスムーズにできるとよいですね。「相続」を「争続」にせず、良好な家族関係が維持できてこそ、お金に込められた思いが生きるのだとも言えるでしょう。

参考資料

足立 祐一