物価の上昇が止まりません。
4月以降も値上げを公表する企業は多いものの、年度末は新生活に向け出費がかさむものです。
日々のやりくりに悩む方も多いのではないでしょうか。
年金生活になれば、副業や残業手当等で収入アップを図ることも難しくなります。決まった金額で生活することを考えると、少しでも受給額が多いと安心ですよね。
日本の平均年収はここ30年ほど約400万円と言われますが、約2倍である年収800万円の方は、たくさんの厚生年金を受給できるものなのでしょうか。
今回は、年収800万円の方が将来受け取れる「厚生年金の月額」について考えていきます。
支払うべき保険料の月額もあわせて見ていきましょう。
【注目記事】年金を増やしすぎた夫婦を待つ悲劇。手遅れになる前に知っておくべき繰下げ受給の仕組み
1. 厚生年金と国民年金の仕組みをおさらい
まずは年金制度の基本を整理します。
日本の年金制度は、国民年金と厚生年金の「2階建て構造」となっています。
1階部分の「国民年金」には日本に住む20~60歳未満のすべての方が加入し、会社員や公務員などは上乗せで「厚生年金」にも加入します。
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出所:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり」(令和4年4月)、厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」をもとにLIMO編集部作成
厚生年金の保険料は、基本的に給与からの天引きで納付します。
現役時代に納付した保険料と加入期間により、将来の老齢厚生年金額が決まります。
そのため多く稼いだ方は年金額も多いと予想できます。
2. 年収800万円の人が受け取る厚生年金はいくらか
国税庁の資料によると、日本の平均年収は443万円。ここ30年は400万円台を推移しています。
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出所:国税庁「令和3年分 民間給与実態統計調査」
平均の約2倍とも言える「年収800万円」を稼いでいる場合、厚生年金はいくらになるのでしょうか。
2.1 厚生年金の受給額の計算式
- 2003年3月以前:平均標準報酬月額×7.125/1000×2003年3月までの加入期間の月数
- 2003年4月以降:平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の加入期間の月数
このように加入の時期によって厚生年金の計算式が異なるため、ここではわかりやすく2003年4月以降に加入したとして試算します。
平均年収800万円から月給換算すると66万7000円となりますが、標準報酬月額の上限は65万円です。
2.2 試算条件
- 2003年4月以降に厚生年金に38年間加入した
- 国民年金は40年間未納なし
- 配偶者や扶養家族なし
- ボーナスなし
2.3 シミュレーション
- 65万円×5.481/1000×38年(456ヵ月)=162万4568円
さらに老齢基礎年金(国民年金)の満額約78万円を足すと、約240万円となります。
月額にすると約20万円です。
実際には38年間を通して年収800万円であるケースはまれですが、一つの目安となるでしょう。
3. 厚生年金を月額20万円以上受給している割合
では、厚生年金を月額20万円以上受給している高齢者はどれほどいるのでしょうか。
厚生労働省の資料から見ていきましょう。
なお、厚生労働省の資料では厚生年金の金額に国民年金も含まれるため、本記事でも同様とします。
3.1 厚生年金・金額別の男女受給者数
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出所:厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
- 1万円未満:9万9642人
- 1万円以上~2万円未満:2万1099人
- 2万円以上~3万円未満:5万6394人
- 3万円以上~4万円未満:10万364人
- 4万円以上~5万円未満:11万1076人
- 5万円以上~6万円未満:16万3877人
- 6万円以上~7万円未満:41万6310人
- 7万円以上~8万円未満:70万7600人
- 8万円以上~9万円未満:93万7890人
- 9万円以上~10万円未満:113万5527人
- 10万円以上~11万円未満:113万5983人
- 11万円以上~12万円未満:103万7483人
- 12万円以上~13万円未満:94万5237人
- 13万円以上~14万円未満:91万8753人
- 14万円以上~15万円未満:93万9100人
- 15万円以上~16万円未満:97万1605人
- 16万円以上~17万円未満:101万5909人
- 17万円以上~18万円未満:104万2396人
- 18万円以上~19万円未満:100万5506人
- 19万円以上~20万円未満:91万7100人
- 20万円以上~21万円未満:77万5394人
- 21万円以上~22万円未満:59万3908人
- 22万円以上~23万円未満:40万9231人
- 23万円以上~24万円未満:27万4250人
- 24万円以上~25万円未満:18万1775人
- 25万円以上~26万円未満:11万4222人
- 26万円以上~27万円未満:6万8976人
- 27万円以上~28万円未満:3万9784人
- 28万円以上~29万円未満:1万9866人
- 29万円以上~30万円未満:9372人
- 30万円以上~:1万4816人
20万円以上~21万円未満に属する人は77万5394人です。
また20万円以上の厚生年金を受給している方は250万1594人。割合にすると15.5%です。
男女別に見ると男性が22.50%、女性が1.23%であることから、男女差がうかがえます。
今後は結婚や出産を経ても正社員として厚生年金に加入し続ける女性が増えると予想されるため、こうした男女差は徐々に解消されていくでしょう。
4. 年収800万円の人が支払う厚生年金保険料
最後に、年収800万円の方が毎月支払う厚生年金保険料も見ていきます。
厚生年金の保険料は、標準報酬月額×18.3%で計算します。
標準報酬月額の上限は65万円で等級は32です。この場合の保険料が11万8950円。こちらを事業主と折半して支払うので、本人負担は月額5万9475円となります。
ボーナスがある方は毎月の保険料がもう少し安くなりますが、ボーナスからも同様に保険料が引かれます。
5. 老後対策の必要性は個々で異なる
年収800万円の方が受け取る厚生年金は月額約20万円となりました。
必要な保険料は月額5万9475円です。
とはいえ、年金額は毎年改定されるため今後も同様の水準が続く保証はありません。
毎年の誕生月に届くねんきん定期便やねんきんネットなどで、確認する習慣をつけておきましょう。
老齢年金が月額20万円受け取れる場合、将来は安泰に感じる方もいれば、不安に感じる方もいます。
居住地や生活費等は個々で異なるため、年金以外にどれほど備えるべきかはそれぞれで考えることが重要です。
老後資金の準備は、早く始めるほど有利になります。この機会にしっかり考えてみましょう。
参考資料
太田 彩子
