4. 退職金だけで老後の準備は大丈夫か?

さきほど触れた「老後2000万円問題」は、標準的な夫婦世帯が老後30年を暮らすためには公的年金以外に2000万円が必要となる、という試算をもとに提起されたものでした。

とはいえ、ライフスタイルや健康状態により必要となる老後資金には世帯差が出てきます。この「2000万円」の中には老後の大型出費となり得る「介護費用」は含まれていません。

さらに、持ち家世帯を前提として住居費用が1万円台で計算されている点にも注意が必要でしょう。賃貸に住み続ける予定の世帯や、住宅ローンの返済が残っている場合には上乗せ費用が生じることになります。

まずは、今現在のひと月の家計収支や、貯蓄、さらに将来の年金見込額を把握してみましょう。そして理想の老後をイメージしてみるのです。そこから逆算することで、自分はどの程度の老後資金を準備すればよいかが見えてくるかもしれません。

また、勤め先の退職金制度が手厚いものであった場合でも、病気などやむを得ぬ事情で定年まで勤め上げることができないケースもありますね。

公務員であっても民間企業であっても退職金の金額は勤続年数と連動する部分が大きいです。退職金に過剰な期待するのは少し注意が必要かもしれません。「万が一の事態」を想定して、余裕をもって老後資金の準備を進めていけたら理想的ですね。

5. まとめにかえて

今回は国家公務員の退職金事情をながめたあと、老後資金についても考えました。

ちなみに公務員の退職金は、民間企業の退職金相場と乖離することがないよう、定期的に見直しが行われます。よって、民間企業の退職金相場よりも大幅に「手厚い」ものとなることは、今後も起こりにくいことは確かであるといえそうです。

とはいえ、民間企業の退職金は年々減少傾向にあります。さらに、退職金制度自体を見直し、企業型確定拠出年金を導入する企業も増えていますね。

官民ともに「老後は退職金で安泰」と言い切ることはできません。長寿時代に生きる私たちには、自助努力によって老後資金を作る姿勢が求められていることは確かでしょう。

参考資料

荻野 樹