NHKの受信料は逆進的でコスト高なので、これを廃止してNHKを税金で運営すれば良いでしょう(経済評論家 塚崎公義)。

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Dutchmen Photography/istockphoto.com

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1. NHKの受信料は逆進的でコスト高

所得税は、高所得者ほど税率が高くなるため、年収が2倍になると支払う税金が3倍にも4倍にもなり得ます。これを累進課税と呼びます。

一方、消費税は誰でも同じ税率ですね。消費額が2倍なら支払う消費税も2倍です。それでも所得が低い人には負担が重いということで、食料品等の軽減税率が設けられているわけです。

一方、NHKの受信料は、所得と関係なく一律です。これは明らかに所得が低い人には負担になりますね。大豪邸でテレビを5台持っている金持ちと同じ受信料ですから。これを累進課税の逆で「逆進的」と呼びます。

好ましい話ではありませんが、仮に所得の高い人や資産の多い人から高い受信料を徴収しようとしても無理な話でしょう。NHKは人々の所得や資産情報を知りませんから。

1.1 受信料の徴収にもコストがかかる

受信料を徴収するコストもかかります。誰がテレビを持っているのかを調べて、請求書を送り、払ってくれない人を説得する、というのは結構な人件費がかかるでしょう。

そもそも説得しても払ってくれない人から強制的に取り立てることができるのかという点も問題になってくるかもしれません。

2. NHKの財源が「税金」になったら?

そんなことなら、NHKは受信料の制度を廃止して、税金で運営することにすれば良いのです。政府の支出は増えますが、その分は何かの税金の税率を少し引き上げれば良いだけですから、コストは最小限です。

公平性の問題は、所得税の累進課税を強化する、相続税を増税する、消費税の軽減税率を止める、など色々な考え方がありますね。そこは別途議論していけば良いでしょう。

3. 「国営放送」になれば政府の言いなり、は本当か

NHKを税金で運営することになると、政府がNHKの経営に口出しするようになり、政府の言いなりになる可能性がある、と心配している人も多いようですが、そうした心配は無用だと筆者は考えています。

世の中には、「政府が悪い事をするはずがない」と考えている人と、「政府は悪い事をするに違いない」と考えている人がいるはずですね。前者はNHKが政府の言いなりになる事を心配していないでしょうから、後者の方に申し上げます。

「大丈夫です。政府が悪いことをしようと思えば今でもできるのですから。NHKを税金で運営することにしても、今より事態が悪化する事はありませんよ」と。

すでに政府の金で運営されている組織が政府の言いなりになっているか否かを見る、という作業も有益だと思います。

その意味で筆者が注目しているのは、国立大学の教授たちが必ずしも政府に都合の良い発言ばかりしているわけではない、という点です。

仮に国立大学の教授をNHKの役員に選んだとしても、NHKニュースが政府に都合の良い報道ばかりになるとは到底思えないのです。

4. NHKの娯楽番組は「有料放送で民営化」を

NHKの財源が税金なった場合、問題となるのは娯楽番組でしょう。

娯楽番組を作るより別のことに税金を使うべき、という考えもあります。しかしそれ以上に、民間放送の娯楽番組を政府が税金で圧迫してしまうことにもなりかねないからです。

そこで、娯楽番組は有料にして、NHKから切り離して別会社が担当するようにすべきでしょう。

視聴者から料金を徴収するか、コマーシャルを放送してスポンサーから料金を徴収するか、どちらでも構いませんが、自力で稼ぐことが必要になるわけです。最終的には民営化して株式を上場することになるでしょう。

理屈は以上ですが、実際には検討すべき問題が多数あります。次では、娯楽番組の境界線、娯楽放送会社の規模、について考えてみましょう。

5. ドラマは娯楽番組、では相撲は?

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Ivan Roth/shutterstock.com

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ここで、娯楽番組の境界線、娯楽放送会社の規模、について考えてみましょう。

ドラマは娯楽番組に分類されるでしょうし、公職選挙法に基づく政見放送はNHK本体で放送すべきでしょうが、境界線が非常に幅広いのです。

スポーツ番組は娯楽でしょうか。相撲は国技だから別扱いでしょうか。美術品を紹介する番組はどうでしょうか。娯楽番組のようでもありますが、国立の美術館が存在することを考えると、税金でも良いような気もしますね。

NHKの規模についても、大きな問題が生じそうです。現在の受信料は、全員が喜んで払っているわけではありませんから、有料放送になれば「それなら見ない」という人も少なくないでしょう。

そうなると、本体の予算は税金で賄うとしても、今と同じ分量の娯楽番組を作ることはできません。しかし、NHKの職員には生活があります。そこで、当分の間は今と同じ規模の会社として、不足額は税金で補填することが必要になるでしょう。

定年退職に伴う職員数減を待ちながら、制作番組の本数を減らす。そして、税金による補填額を減らしていくとなれば、かなり長期間に補助金を払い続ける必要がありますね。

これも「民業圧迫」と言われかねませんが、長い目で事態の改善を見守ってもらうしかなさそうです。

本稿は、以上です。なお、本稿は厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。

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塚崎 公義