本格化する大家さんとサブリース業者のトラブル
前回、アパート経営におけるサブリース(家賃保証)の儲けの仕組みと約束された破綻というテーマで、サブリース問題ついて解説しました(『「家賃保証」は危険なトリック〜サブリース訴訟は起こるべくして起きた 』)。
実際に、当社のクライアントでもサブリース業者による家賃保証の値下げ交渉でトラブルになっているという相談が年々増えています。もう10年以上前から、この「時」がくるのを声高に訴えてきましたが、いよいよ本格化してきました。
2020年以降、世帯数が減少しだすと、さらに空室問題は深刻化します。そして、遅かれ早かれサブリース業者は「無い袖は振れない」と開き直って「自分が妥当だと考える保証賃料」しか払わなくなるでしょう。その結果、全国各地でサブリース訴訟が起こってくるのも目に見えています。
当初は30年保証するとしながらも、契約書にはちゃっかり「家賃の見直しは2年ごとに行える」などと書かれていますから、保証がきつくなった時点で保証家賃を「下げてくれ」、「でないと保証を続けられない」と開き直ることができるのです。
もし、大家さんが彼らの値下げ要求を飲まないとどうなるのか?
サブリース業者は自分が妥当だと思う「家賃を払えばいい」ことになります。なぜ、世間的にはサブリース業者よりも弱者に見える大家さんが泣き寝入りしなければならないのか? この行為は借地借家法第32条(借賃増減請求権)で認められているサブリース業者(借主)の権利だからです。
したがって、保証家賃の値下げが不当だと思うなら大家さんは裁判で白黒つける必要があります。
今年2月に名古屋で訴訟を起こした大家さんのように、裁判で徹底的に争える時間とお金の余裕があればいいですが、ほとんどの大家さんは泣き寝入りし、サブリース業者の主張する「値下げされた家賃」で保証を継続してもらうことになるのではないでしょうか?
サブリース継続の条件にリフォームが加わることも
サブリース継続の条件は保証家賃の値下げだけではありません。
たとえば、築10年以上経過し設備が古くなりつつある物件では、「内外装のリフォームをしてくれれば、今の家賃で保証を継続する」という条件をサブリース業者につけられることもあります。当然、このリフォームはサブリース業者が請負うことが条件です。
仮に500万円のリフォーム費用がかかったとして、彼らは少なくとも30%、150万円の利益は確保しますから、今後の空室リスクや家賃下落リスクはこの利益でさらに薄めることができるわけです。
リフォームまでして、現状の保証家賃を維持してくれるならまだいい方でしょう。多くの場合はリフォームと保証家賃の値下げ要求はセットで行われるからです。
こうなったら、大家さんはたまったものではありません。彼らの要求を突っぱねる方法もなくはないですが、開き直りの強硬手段で「勝手に値下げされた家賃」を振り込まれてくる場合もありますので、結局泣き寝入りしてしまう大家さんはかなり多いと思います。
募集家賃が相場程度なら家賃値下げを拒否する
とはいえ、大家さんを守るように法律が抜本的に改正される見込みは極めて低いのが現実。では、どうすればいいのか?