ひとつは、募集家賃が相場の家賃程度なら値下げ要求を突っぱねることです。

借地借家法第32条(借賃増減請求権)では「契約の条件にかかわらず、当事者は将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる」とされているため、たいていのサブリース契約の条項には、賃料見直しの条件として「近傍同種の建物の賃料に比較して賃料が不相応となった場合」などと書かれているはずです。

ということは、そもそも相場の家賃と比べて、家賃保証の設定家賃が明らかに高くなければ保証家賃の減額はできないのです。つまり、家賃保証のベースとなる設定家賃が明らかに相場家賃より高い、あるいは同等程度であれば値下げ要求を飲む必要はないということです。

私のクライアントにも、このように相場家賃をチェックした結果、家賃保証の設定家賃が相場家賃と同等だったため、サブリース業者の値下げ要求を突っぱねることに成功した大家さんもいます。

しかし、サブリース業者の経営が火の車になってしまっている場合は、何をいってもダメなケースもあるでしょう。以前、私のクライアントにあった例では、契約途中から保証家賃が払われなくなり、その後、サブリース業者が倒産し500万円もの家賃未納被害を被ってしまった方も実在します。

ですから、減額要求を一時的に突っぱねられたからといって安心はできません。いずれまた家賃の減額交渉を持ちかけられるかもしれないからです。

思い切って自主管理に切り替えよう!

もし、大家さんがサブリース契約自体が失敗だったと認められるのなら、早々にサブリース契約を解除して、一般の賃貸管理、もしくは自主管理に切り替えて保証料分を節約した方がいいでしょう。

できれば、自主管理に切り替えるのがベスト。一気に10%程度の保証料を節約できます。自主管理は敷居が高い、宅建の知識がいるのでは?と感じる方も多いかもしれませんが、不動産実務検定2級レベルの知識があれば、十分に自主管理を行うことはできます。

もちろん、不動産業者に任せる一般管理でもいいでしょう。しかし、それでも5%程度の管理料が毎月かかります。サブリースの保証料が10%であれば、5%しか節約できませんが、節約しないよりはマシだと思います。

そもそもサブリースで30年間運営し続けるというパッケージ自体が失敗だったということに気づいたのであれば、完全に自主管理に切り替え、経費を極限まで節約した方が経営を再建しやすいと思います。

では、自主管理に切り替えるときの実務はどうすればいいのでしょうか?

入居者との引き継ぎはこうする

サブリースから自主管理に切り替える際の重要ポイントは次の8つです。