3. 老後は年金だけで暮らしていける?
総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)」によると、65歳以上の単身無職世帯の1カ月の消費支出は13万2476円です。
※消費支出…食費や住居費など、原則として日常の生活を営むのに必要な商品やサービスを購入し支払った支出のこと
男女全体の平均月額(約14万3000円)を受け取っている場合でも「年金だけで無理なく暮らす」ことは難しい可能性が高そうです。
さらにいうと、いまの年金水準がこの先もずっと維持されるとは限りません。私たち現役世代は、年金生活を支える「老後資金」をしっかり準備していく必要があるでしょう。
4. まとめにかえて
最新の厚生年金受給額事情をながめたあと、年金から天引きされる税金や社会保険料について整理しました。
公的年金のいわゆる「額面」については、メディア報道、そして「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で何かと見聞きしますね。
一方、年金から天引きされるお金についてこれまで意識する機会がなかった、という人も多いでしょう。例えば「繰下げ受給」で年金を増やした結果、税金や社会保険料の負担が増え、手取りが減ってしまうようなケースも起こり得ます。
年金や税金、社会保険料との付き合いは、生涯続きます。それらのしくみを理解することは、「人生100年時代」を見据えたお金の準備を上手に進めていく一つのポイントとなるかもしれません。
参考資料
- 厚生労働省「加藤大臣会見概要」(令和5年2月10日(金)9:03~9:18 省内会見室)
- 厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 八王子市「税額の計算方法」
- 東京都後期高齢者医療広域連合「保険料の算定方法」
- 厚生労働省「令和5年度の年金額改定についてお知らせします」
- 総務省「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)Ⅱ総世帯及び単身世帯の家計収支」
鶴田 綾