「ゾンビ企業」の延命は、意味があったのか
経済学者の中には、景気のことなど気にせずにゾンビ企業は淘汰すべきだ、という人も多いです。しかし、不況期にゾンビ企業を淘汰することに意味はありません。
「ゾンビ企業が労働者を囲い込んでいるから、労働者が効率的な企業に移れない」という人もいますが、筆者は違うと考えます。
不況期には失業者が増えますから、効率的な企業が人を雇いたいと思えば好きなだけ雇えるわけです。よって、効率的な企業のためにゾンビ企業を淘汰する必要はないと考えるからです。
むしろ、ゾンビ企業が淘汰されて不況が深刻化することで、効率的な企業が倒産してしまう可能性も考える必要があるでしょう。
効率的な企業自体は倒産しなくても、(ゆくゆくは効率的な企業になるはずだった)スタートアップ企業が倒産したり、開業資金が集まらなかったりする可能性は小さくないと筆者は考えます。
景気が良くなって失業者がいなくなったら、効率的な企業が困る、という可能性はゼロではありません。しかし、効率的な企業は賃上げをすることで労働力の確保が可能となるでしょう。
逆に、賃上げできない非効率企業は、その時には淘汰されるでしょうから、効率的な企業が被る迷惑は限界的なはずです。
その意味では、ゼロゼロ融資の返済スケジュールや雇用調整助成金の期限を景気動向に応じて臨機応変に変更することが望ましいでしょう。
景気が回復して労働力不足になってからもゾンビ企業が労働力を抱え込んでしまうと困りますから。