「老後は働きすぎると年金がカット(減額)されてしまう」と小耳にはさんだ人も多いでしょう。

「人生100年時代」の到来により老後も働く人が増えると予想される中、働き損になるのは避けたいところです。

年金を損なく受け取るにはどのようなポイントがあるのでしょうか。さっそく見ていきましょう。

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1. なぜ?老後に働くと年金が減額されるワケ

そもそも「収入を増やすために働いているのに、なぜ年金が減額されるのか」と不思議に思う人も多いのではないでしょうか。

これは、「働くことで一定以上の賃金を得ている60歳以上の老齢厚生年金受給者」を対象とした在職老齢年金の仕組みがあるからです。

1954年に厚生年金保険法が全面改定したころの老齢年金は「退職した人」を支給要件としていたため、「そもそも在職中の人には年金は支給しない」という考え方でした。

しかし1965年の改正を機に「働きながら年金を受け取れる対象」を65歳以上、65歳未満と長い年月をかけて拡大してきました。

ただし、在職老齢年金を支給するにあたっては、年齢のほか「年金と合わせてどのくらいの収入があるか」という基準も設けられています。

これにより、老後も一定以上の賃金を得ている(基準を超えた)場合は年金が減額されることになります。

当初と比べると働きながら年金を受給できる人は増えているのですが、今の制度だけを切り取ると「働くほど年金が減額されて損」な状況に映っているといえます。

2. 【在職老齢年金】年金カットの基準は

では、年金が減額される在職老齢年金の基準は、具体的にどのくらいなのでしょうか。

日本年金機構の在職老齢年金の計算方法のフローチャートでイメージしてみましょう。

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出所:日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」

まず、基本月額とは「加給年金額を除いた老齢厚生(退職共済)年金(報酬比例部分)」の金額をさします。また、総報酬月額相当額とは、「その月の標準報酬月額+その月以前1年間の標準賞与額」を12で割ったものです。

ざっくりいうと「厚生年金の月額」と「給与」と「直近1年以内のボーナスを12で割ったもの」の合計額がポイントです。

この金額が1カ月あたり47万円以下の場合、年金は全額支給されます。


47万円を超える場合は一部減額または全額支給停止となり、「基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-47万円)÷2」の計算式に基づいた在職老齢年金の調整がおこなわれることになります。

仮に基本月額を15万円、総報酬月額相当額を35万円とした場合、「15万円―(50万円―47万円)÷2」となりますから、年金が1万5000円減額される計算です。

3. 在職老齢年金が減額されている人はどのくらいいるか

2022年3月以前は、さきほどの厚生年金と収入額が月28万を超えると在職老齢年金の減額対象となっていました。

そのため、65歳以上で働いている年金受給者のうち、約2割が支給停止。60代前半では、半数を超える人が支給停止の対象となっていました。せっかく身体が動くうちは働いているのですから、年金が減額されて損をした気持ちになるのは寂しいですね。

2022年4月以降は基準が47万円まで引き上げられたことで、減額や支給停止の対象となる人は大幅に減ることが予想されます。

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出所:厚生労働省「年金制度の仕組みと考え方 第10 在職老齢年金・在職定時改定」

老後も制限を気にせず働きやすくなるとはいえ、好条件で仕事を続けられた場合には基準額を超えてしまう可能性があります。

在職老齢年金の減額基準に引っかからない範囲で働きたいという方は、47万円を意識しておくとよいでしょう。

4. 年金だけでは心もとない人は

先を見越して老後も仕事を続ける前提で考えている人も増えているかと思います。しかし、老後もバリバリ働きすぎると在職老齢年金の減額対象となることも。

また、老後もフルタイムでの働き方を続けるよりは「ほどほどに働いて、ほどほどに老後の余暇を楽しむのが理想」という人も少なくないでしょう。

その理想を叶えるには、「ほどほどの収入と、ほどほどの貯蓄の切り崩し」が鍵になるかもしれません。少し仕事量を落としてもゆとりを持った暮らしができるだけの備えをしておきたいですね。

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参考資料