2023年が始まりました。新年は暮らしやお金の計画などを立てるよいチャンスですね。

長寿時代を見据え、老後資金の準備の必要性が囁かれるいま。かつて話題となった「老後2000万円問題」など、老後の年金に関する夫婦単位での試算はよく見聞きします。

一方、結婚を選択しなかった人や、離別・死別などの理由で老後に単身世帯となるケースも多いでしょう。

「おひとりさま」の老後。とりわけ、男性に比べて年金受給額が少なめの女性の場合、いまから想定できる不安はできるだけ払拭しておきたいですね。

今回は、「おひとりさま女子」の老後の年金事情にフォーカス。シニアの一人暮らしの平均的な生活費に関するデータにも触れながら、老後に向けた心構えについても考えていきます。

年金だけでは不安な老後を生き抜くために、意識したいこと2つとは?

【注目記事】「老後に2000万円必要」はウソ?【役所は教えない】年金だけで暮らしていく方法とは

厚生年金「おひとりさま女子」なら平均10万円

厚生労働省年金局が2022年12月に公表した、「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より、今のシニア女性が毎月いくらぐらいの年金を受け取っているのかを確認していきましょう。

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出所:厚生労働省年金局「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

女性の平均受給額と厚生年金受給額ごとの受給者数の分布は以下のとおりです。

厚生年金受給額の分布(女性)

平均受給額:10万4686円

※厚生年金受給額には、基礎年金(国民年金)の金額を含む

  • 1万円未満:2万9276人
  • 1万円以上~2万円未満:6963人
  • 2万円以上~3万円未満:5万519人
  • 3万円以上~4万円未満:8万9784人
  • 4万円以上~5万円未満:7万9430人
  • 5万円以上~6万円未満:9万3183人
  • 6万円以上~7万円未満:23万7418人
  • 7万円以上~8万円未満:44万2558人
  • 8万円以上~9万円未満:68万666人
  • 9万円以上~10万円未満:85万1331人
  • 10万円以上~11万円未満:77万7047人
  • 11万円以上~12万円未満:59万523人
  • 12万円以上~13万円未満:41万5686人
  • 13万円以上~14万円未満:29万4029人
  • 14万円以上~15万円未満:21万3811人
  • 15万円以上~16万円未満:15万5836人
  • 16万円以上~17万円未満:11万2272人
  • 17万円以上~18万円未満:7万6925人
  • 18万円以上~19万円未満:5万2191人
  • 19万円以上~20万円未満:3万7091人
  • 20万円以上~21万円未満:2万4351人
  • 21万円以上~22万円未満:1万6322人
  • 22万円以上~23万円未満:1万444人
  • 23万円以上~24万円未満:6549人
  • 24万円以上~25万円未満:3719人
  • 25万円以上~26万円未満:2081人
  • 26万円以上~27万円未満:1047人
  • 27万円以上~28万円未満:488人
  • 28万円以上~29万円未満:196人
  • 29万円以上~30万円未満:135人
  • 30万円以上~:361人

女性の平均受給額は10万4686円。ボリュームゾーンは「9万円以上10万円未満」です。

受給額分布を見ると、1万円未満から、少人数ですが30万円以上の層まで幅広いですね。

厚生年金の年金保険料は収入に応じて決定され、年金加入期間とともに老後の受給額を左右します。現役時代に長く働き多く稼げば年金も増えるのです(※ただし上限あり)。

とはいえ、グラフでみた通り、受給額には大きな個人差があります。平均額を鵜呑みにするのではなく、「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で、自分の受給見込み額を把握しておきましょう。

年金世代 おひとりさまの「ひと月の生活費」ってどのくらい?

シニアのおひとりさま暮らしの「生活費」も気になりますね。先述の通り、女性の厚生年金の平均月額は10万4686円。果たしてこの年金額だけで老後を過ごしていけそうでしょうか。

参考までに、総務省「家計調査報告 家計収支編 2021年(令和3年)平均結果の概要」から、65歳以上の「高齢単身無職世帯」のひと月の家計収支に関するデータを見てみましょう。

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総務省「家計調査報告 家計収支編 2021年(令和3年)平均結果の概要」

こちらは男女全体の平均ですが、ひと月の消費支出は13万2476円です。平均的な女性の年金月額だけで暮らすとなれば、家計収支は常に赤字となってしまいますね。

「年金だけでは足りない」状態が続くことを覚悟しながら、老後をたくましく生き抜くためには、どのような心構えが必要となりそうでしょうか。

次では、おひとりさまが老後を安心して暮らすために、ぜひ準備しておきたいことを、2つのポイントに絞って紹介します。

年金だけでは不安な老後を生き抜くために

やっておきたいことその1. 健康への意識を高める

日本は世界でも有数の長寿国。長生き時代に老後を送る私たちが何より気をつけたいのは、いつまで健康でいられるかということ。いわゆる「健康寿命」に目を向けることです。

健康寿命とは「日常生活に制限のない期間」のことをさします。「他人の助けを必要とせず、自分自身で生きていける状態」などですね。

日本人女性の平均寿命は87.57歳(2021年)。しかし、健康寿命は75.38歳(2019年)です。晩年の約12年間は、何らかの形で生活のサポートや介護が必要になるのが平均的、ということになるでしょう。

おひとりさまの老後。どんな費用が必要?

おひとりさま世帯の場合、家事や外出支援などをアウトソーシングする機会も多くなるかもしれません。

また、自宅のバリアフリー改修や長期入院といった、シニア世代ならではの大きめ出費が生じる可能性も。さらに、介護施設への入所を検討する場合もあるでしょう。

特別養護老人ホームは介護保険が適用される公的施設なので、負担が少なく済みます。しかしその分人気も高く、希望しても即入所するのは難しいケースが多いでしょう。

民間の有料老人ホームに入居する場合は、ときには数千万円単位のお金が必要となることも。

年を重ねることで、健康面や体力面での不安は増えます。若い頃から食事・睡眠・運動に気を配り、「長く健康でいるための」準備をしていく姿勢を大切にしたいですね。

やっておきたいことその2. 積立投資でコツコツと老後資金の準備

とはいえ、医療や介護などにかかる費用は、抑えるにも限界があるでしょう。また、リタイヤ後は、趣味や旅行など「お楽しみ」のために使えるお金もぜひ確保しておきたいところですね。

限られた年金収入で暮らすとき、それを支えるのは現役時代からコツコツ準備した老後資金です。

このリタイヤ生活の大切な原資は、ときに数千万円が必要ともいわれます。多くの世帯にとって、一朝一夕で準備できる金額ではないでしょう。

まずは預貯金をしっかり確保することから始めましょう。とはいえ、超低金利が続くいま、銀行などの預貯金としてお金を眠らせておくだけでは、残念ながら資産を増やすことには繋がりにくいです。

預貯金にプラスして「資産運用」でお金を育てる

次にぜひ持ちたいのが、資産運用で「効率よくお金を育てる」視点です。

「30年間毎月3万円ずつ」積立てることを想定し、「預貯金の場合」と、「積立投資で運用した場合」のシミュレーションを比較してみましょう。

「毎月3万円を30年間」預貯金で貯蓄した場合

※利息や税金は考慮せずに計算

  • 1080万円(3万円×12カ月✕30年)

「毎月3万円を30年間」積立投資を活用した場合

  • 1748万2107円(※金融庁資産運用シミュレーション活用/想定利回り(年率3%の場合)

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出所:金融庁「資産運用シミュレーション」

30年間、毎月3万円を預貯金だけで積立てた場合は1080万円、年率3%で運用できた場合は1748万2107円。かなりの差がつきますね。

資産運用は預貯金とは異なり元本保証がありませんが、運用期間を長くとることでリスクを抑えながら、複利のチカラを生かして効率よくお金を育てていくことも可能です。

「つみたてNISA」や「iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)」といった国の税制優遇制度の活用を検討するのも一案でしょう。

まとめにかえて

今回は、「おひとりさま女子」の厚生年金事情をながめたあと、リタイヤ後の生活費、老後に向けての心構えなどに触れてきました。

自分のペースで生活できる快適さを好んで、「おひとりさま」という生き方を選ばれる方も中にはいるでしょう。

リタイヤ後もその快適な暮らしを長く維持できるために、「老後の資金」はしっかり準備をしておきたいものですよね。

「おひとりさま」の場合、家計の決定権を握るのは自分だけ。ちょっと心細く感じることもあるでしょう。でも、その強みを活かして、自分の理想に合う資産形成のスタイルを見つけていけるとよいですね。

参考資料