内閣府の公表する「令和4年版高齢社会白書」によると、世界の高齢化は急速に進展しています。

高齢者が貴重な労働力となる一方、いつまで働かなくてはいけないのかと不安を感じる方も少なくないでしょう。

本稿では、日本を取り巻く高齢化社会と60代の労働についてみていきたいと思います。

【注目記事】厚生年金だけで【月平均25万円以上の年金収入】の羨ましい人は日本に何パーセントいるか

【60代の収入と労働】年金問題を引き起こす高齢化の状況と未来予想図

世界の総人口は2020年の77億9480万人から2060年には101億5147万人に増加すると考えられているものの、65歳以上の割合も17.8%まで上昇する見込みとなっています。

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内閣府「令和4年版 高齢社会白書(全体版)」

内閣府「令和4年版 高齢社会白書(全体版)」

なかでも日本は世界最高の高齢化率で、すでに総人口1億2550万人のうち28.9%が65歳以上の高齢者という状況です。(令和3年10月1日時点)

さらに43年後の2065年には総人口が8808万人まで割り込むうえ、65歳以上人口が38.4%まで上昇すると推計されています。

1950年には12.1人の現役世代で1人の65歳以上の高齢者を支えることができましたが、2065年には1.3人で1人の高齢者を支えなければいけない計算になります。

将来を悲観するなという方が難しい状況のなか、懸念されるのが増加する一人暮らしの高齢者です。

65歳以上の一人暮らしの割合は1980年の男性4.3%・女性11.2%から右肩上がりに増加を続け、2020年には男性15.0%・女性22.1%に。

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内閣府「令和4年版 高齢社会白書(全体版)」

内閣府「令和4年版 高齢社会白書(全体版)」

一人暮らしそのものが悪いわけではありませんが、「1人分の年金で老後を乗り切る可能性」をまえに金銭的な対策の強化が求められるでしょう。

【60代の収入と労働】そもそも60代の年金受給額はいくらなのか

公的年金だけで十分な生活が送れるのであれば働きつづける必要はありませんから、60代の労働を考える上で切り離すことができないのが年金水準です。

一旦、現在の受給額をみておきましょう。
※厚生年金額は特別支給の老齢厚生年金・障害年金・遺族年金を含んでいます。

女性の年金月額

国民年金

  • 60~64歳 4万9400円
  • 65~69歳 5万9500円

厚生年金

  • 60~64歳 3万7200円
  • 65~69歳 7万5300円

男性の年金月額

国民年金

  • 60~64歳 6万2200円
  • 65~69歳 6万4400円

厚生年金

  • 60~64歳 7万4100円
  • 65~69歳 12万8200円

ここに上げられた金額から社会保険料などが差し引かれ手取りが少なくなる可能性を加味すると、多くの方にとって1人分の年金で生活を営むのは現実的ではないでしょう。

夫婦世帯は受給する年金種類の組み合わせにもよりますが、日々の生活に医療費や介護費用が加われば赤字になる可能性が高いといえるでしょう。

【60代の収入と労働】働き続ける60代。その心は

ここからは独立行政法人労働政策研究・研修機構「60代の雇用・生活調査結果」から、60代の労働意欲についてみていきます。

少し前の調査にはなりますが、最新の2019年の結果では以下のような就業率となりました。

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出所:独立行政法人 労働政策研究・研修機構『「60代の雇用・生活調査」結果』

出所:独立行政法人 労働政策研究・研修機構『「60代の雇用・生活調査」結果』

◆男性の就業率

  • 60~64歳    80.8%
  • 65~69歳    59.6%

◆女性の就業率

  • 60~64歳    59.8%
  • 65~69歳    41.1%

このうち「いきがい・社会参加のため」に働く人は33.4%、「時間に余裕があるから」は22.6%です。

一方、「経済上の理由」で働く人は76.4%と必要に迫られて仕事を続けている人が大半であることがわかります。(※いずれも複数回答可)

いまの日本の年金の受給開始年齢は原則65歳ですから、60~64歳の間に働くことは不思議ではありません。しかし、65歳以降も働きつづけることについては捉え方が分かれることになるでしょう。

【60代の収入と労働】定年後も働くために必要なこと

60~64歳で仕事をしている人に対して「65歳以降の働く予定」を調査したところ、男女ともに以下の意見が多くなっていました。

  • 採用してくれる職場があるなら、ぜひ働きたい:30.5%
  • すでに働くことが(ほぼ)決まっている:25.6%
  • まだ決めていない、わからない:27.2%
  • 仕事はしたくない。仕事からは引退するつもり:7.0%

一方で、希望する労働時間をみると男性はフルタイム(55.9%)・女性は週20~30時間未満(36.1%)が最多となり、男女差が出た形になりました。

65歳をすぎても働くためには、健康・体力はもとより、仕事への意欲や専門知識・技能の有無が問われるでしょう。

また、基本的には自分より年下の管理監督者の指示を受けて働くことになります。
自身の経験則に固執せず、時代にあわせた柔軟なスタイルで仕事に取り組む姿勢が必要とされるでしょう。

【60代の収入と労働】豊かな老後のために

今回は、60代の収入と労働についてお話してきました。

いくつになっても社会の一員をして仕事を続けたい人もいれば、老後はゆっくり過ごしたい人もいるでしょう。

どちらの場合も、目標にあった行動を積み重ねるのが肝心です。

自分のスキルや専門性を磨く、健康や体力を維持する、働けなくても生活できるよう貯蓄を増やすなど、向かうべき方向に舵をきっていきましょう。

参考資料

尾崎 絵実