2022年11月28日、厚生労働省において第103回社会保障審議会介護保険部会が行われました。

この中で、介護保険の一部負担割合が2割になる方の対象を拡大する方針であることがわかっています。

2022年10月からは、後期高齢者の医療保険でも2割負担者が拡大しており、高齢者のお金事情はますます厳しくなることが予想されます。

制度改正のポイントと、高齢者のお金事情を見ていきましょう。

介護保険の負担割合とは

現行の介護保険制度において、介護保険の適用となるサービスを受けたときの自己負担割合は、原則1割となっています。

ただし、一定の所得がある方は2割負担、あるいは3割負担となります。

1/4

出所:厚生労働省「第103回社会保障審議会介護保険部会 給付と負担について(参考資料)」

2017年(平成29年)の改正(施行は2018年8月)で2割負担から3割負担に引き上げられた際にも、様々な意見があがりました。

ただし、厚生労働省の資料では、これまで2割負担や3割負担が拡大する過程において、実質的な自己負担率に大きな変化はないとされています。

2/4

出所:厚生労働省「第103回社会保障審議会介護保険部会 給付と負担について(参考資料)」

今後の改正により、2割負担や3割負担の対象者は、全体の約30%に拡大する見込みとされています。

後期高齢者の医療保険も2割負担が拡大

介護保険の改正は2024年度を目指しているとの報道がありますが、後期高齢者医療制度については2022年10月にすでに改正されています。

これにより、医療費の2割負担者は増えた形です。

基本的に、75歳以上のすべての方が加入する後期高齢者医療制度においては、被保険者の自己負担割合は原則1割となっています。

ただし、現役並みの所得がある場合は3割負担となります。私達現役世代も、病院にかかるときは医療費の3割を自己負担しますね。こちらと同率になるということです。

そして2022年10月からは「2割負担」が新設。75歳以上で現役並みの所得がなくとも、一定の所得がある場合は2割負担となったのです。

3/4

出所:厚生労働省「後期高齢者医療制度に関するお知らせ」

対象となるのは全体の約20%で、課税所得や世帯員情報等により判定されます。

ただし、2025年9月30日までの間は、負担増加額を3000円までに抑える経過措置がとられています。

医療費も介護費も負担増…その背景とは

高齢者にとって身近である医療費や介護費用について、負担割合は高まる傾向にあります。

保険料も増加傾向にあることから、ますます負担が高まることは避けられないでしょう。

ただし、「所得のある高齢者は相応の負担をするべき」との見方もあります。

現役世代の方の中には病院にかかることが少なく、保険料を払うだけという状態の方もいるでしょう。介護も遠い将来の問題のように感じます。

一方、高齢者の医療保険は加入者の保険料だけでまかなうことは難しく、現役世代からの拠出金や公費も投入されています。

4/4

出所:厚生労働省「後期高齢者医療制度に関するお知らせ」

介護保険料についても、介護とはあまり関わりがない第1号被保険者(40歳~65歳)も支払っています。

公平性を考えると、所得のある高齢者の負担が高まるのは仕方のない流れと言えるかもしれません。

高齢化が進む中、こうした調整は今後も続くことが予想されます。

公的保障以外に自分でも備えるべき

老後のお金について、公的保障が縮小傾向になるほど不安が高まるかもしれません。

世代間での違いに不公平を感じてしまうこともあるでしょう。

しかし、老後のお金については個々人で備えていくのが原則ではあります。定年退職に向けた資産形成は、対策した人としていない人で明確な差が生まれてしまうのです。

退職金の有無、居住地、家族構成、相続遺産などさまざまな要因で決まる老後のお金ですが、現役時代からの対策も大きく関わってくるでしょう。

現時点において、ねんきん定期便等で年金見込額を把握しているかどうかでも違いが出てきます。

制度に対する批判があれば、声をあげるべきです。一方で、自助努力なしで老後を迎えるのはあまりにリスクが高いことなのです。

老後を見据え、早くから資産形成を始めていくことも重要といえるでしょう。

まとめにかえて

介護保険の改正案と、後期高齢者医療制度の改正から、高齢者のお金事情について見ていきました。

昨今の値上げは家計にダイレクトに響き、老後の備えは後回しになってしまうものです。

現在の生活ももちろん大切ですが、一方で長い目でみたライフプランも軽視できません。人生における貯め時を見逃さないためにも、制度改正に注視しつつ、老後のお金を意識してみましょう。

参考資料