【年末調整】3枚の申告書と受けられる控除

年末調整で提出する主な書類は次の3枚です。

  • 扶養控除等(異動)申告書
  • 基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
  • 保険料控除申告書

この他に、2年目以降に住宅ローン控除を受ける場合には「住宅借入金等特別控除申告書」の提出が必要です。ここでは説明を割愛します。

それでは一つずつ見ていきましょう。

年末調整の申告書1.扶養控除等(異動)申告書

この申告書を提出することで、「扶養控除」「障害者控除」「寡婦控除」「ひとり親控除」「勤労学生控除」を受けることができます。

扶養控除

申告者と生計を一にする配偶者を除く16歳以上の親族で、合計所得金額が48万円(給与所得のみの場合は103万円)以下の者がいる場合に控除を受けられます。

控除額は年齢や同居であるかどうかで異なります。

  • 16歳以上19歳未満は38万円
  • 19歳以上23歳未満(特定扶養親族)は63万円
  • 23歳以上70歳未満は38万円
  • 70歳以上(老人扶養親族)で同居でない場合は48万円、同居の場合は58万円

※親族とは、6親等内の血族と3親等内の姻族をいいます。

障害者控除

申告者本人や申告者と生計を一にする配偶者、扶養親族で、所得税法上の障害者または特別障害者(障害等級1級に該当する者など)に当てはまる場合に控除を受けられます。

  • 障害者27万円
  • 特別障害者で同居でない場合は40万円、同居の場合は75万円

寡婦控除

寡婦とは、本人の合計所得金額が500万円以下で、夫と離婚した後婚姻をしておらず扶養親族がいる人、または夫と死別した後婚姻をしていない人をいいます(ひとり親に該当する人を省きます)。寡婦に該当する場合、27万円の控除を受けられます。

ひとり親控除

婚姻をしていない合計所得金額が500万円以下の者で、生計を一にする子(※)がいる場合にひとり親控除を受けることができます。控除額は35万円です。

※総所得金額等が48万円以下で、他の人の同一生計配偶者や扶養親族になっていない人

「寡婦」と「ひとり親」の違いが分かり難いと思いますが、「ひとり親」は性別、婚姻歴を問わない、生計を一にする子がいる者、「寡婦」は条件に当てはまる婚姻歴のある女性となります。ひとり親に該当する場合は、寡婦控除は受けられません。

勤労学生控除

申告者が合計所得金額75万円以下の勤労学生である場合に27万円の控除を受けられます。

扶養控除等の額

出所:国税庁「給与所得者(従業員)の方へ(令和4年分)」をもとに筆者作成

扶養控除等(異動)申告書は、控除の対象となる扶養親族がいない場合も提出する必要があります。

また、申告書の下部に「住民税に関する事項」があり、これは16歳未満の扶養親族がいる場合に記入します。

16歳未満の扶養親族は所得税の控除の対象とはなりませんが、住民税の計算においては対象となります。