一方、年頃の子供を持つ親からすれば、子供には若いうちに好きな人に出会ってもらい、幸せな家庭を築いてほしいと願うのは極めて当然のことではあります。

しかし、大卒の就職状況は売り手市場とは言え、日本経済そのものが伸び悩んでいることを考えれば、就職が仮にうまくいったとしても年齢とともに給与水準が上昇していくという時代ではないでしょう。

また、機械化やAI(人工知能)が進むことで、これまで人手をかけてこなしていた仕事もいつまでも続くとは限りません。すでにポジションを確立している会社でも競合する企業からイノベーションが持ち込まれ、既存のビジネスモデルが崩れることもあります。金融業界など、これまで知識(インテリ)層が独占していた領域ですらフィンテックの台頭により危ういのです。

ベンチャーが成功する確率とビジネスモデルが完成している事業が崩れる確率のどちらが高いかというほどに先が読みにくい時代になったというわけです。仮に新郎がよい会社に就職しているといってもその状況が続いていくという保証はありません。

苦しい時は若い夫婦2人で力を合わせて困難を乗り越えていく、というのはもちろん重要なことですが、夫婦共働きでもお互いの給与水準の限界が見えている中で工夫する余地が限られているケースもあるでしょう。

結婚相手の経済力を重視するのであれば、若い者同士で結婚するという選択肢が絶対という話ではありません。どちらかといえば、ビジネスパーソンや経営者として地位を確立している相手の方が良いのではという考えもあります。仮にそうした相手が離婚歴があったとしてどうかということです。

結婚相手の選び方と投資家の投資スタイルとの共通点

では「結婚するなら初婚でなくて再婚の人がいい」という女性はなぜそう主張するのでしょうか。ずばり「一度でも”結婚できた人”だから」というのです。一言でいうならば「失敗しているとしても一度は結婚という面倒なプロセスをクリアできた人に安心感がある」というわけです。

たとえば結婚後だけでなく結婚前にだって面倒なイベントはあります。両家顔合わせや結婚式などです。

特に結婚式は資金調達にはじまり、結婚式場の決定、出席者の確定・招待、スピーチの依頼、席順決め、引き出物の準備など、規模の大小はあれ、立派なプロジェクトです。イニシアティブをどちらがとるにせよ、完成度を高めて完遂することができるのかでプロジェクトマネージャーとしての資質が問われます。

実際には「彼女のための結婚式だから好きにさせないと後が怖いし」とノータッチを決め込む新郎に「準備を何も手伝ってくれない」と激怒する新婦の構図も非常によく見かけます。ただ、仮にも一度はこうしたプロジェクトをやり遂げ、そしてその後の親戚づきあいも含めて経験した人のほうが、初めて経験することに適応できないリスクを取るよりはよいということのようです。

これは、株式市場で創業間もなく成長著しい新興企業に投資するか、多少の紆余曲折があっても伝統的な企業に投資するか、という話に少し似ています。「新興企業は成長のポテンシャルはある」「でもダメになるときは一瞬かもしれない」、「伝統的な企業に伸びしろは期待できない」「でも継続的に安定的な収益を生み出してくれるかもしれない」というように、企業の見方は投資家によって異なります。どちらを選ぶかは、本人の投資スタイルによります。

投資の神様バフェットは市場でもまれた会社が好き