1. 「漢字」へのこだわりが“キラキラ”増加の背景に

毎年、生命保険会社やベビー用品を扱う企業などによって、赤ちゃんの名づけランキングが発表されています。これから生まれる赤ちゃんの名前を考えるとき、参考にしている人も多いことでしょう。

明治安田生命が行っている「生まれ年別の名前調査」では、2019年に「子どもの名前で振り返る平成30年史」という特別企画を実施。それぞれの年に見られる名づけの特徴や、名づけの傾向の移り変わりなどを分析して公表しています。

平成30年間の人気の名前は、オリンピックやスポーツ関係のブームなどその年を象徴する出来事にちなんだものから、人気芸能人の名前にあやかったものまでさまざま。一方、30年の間に8回もランキング1位となった「大翔(ひろと)」や「美咲(みさき)」のように根強い人気を誇る名前もあり、平成時代らしいお名前として定番化したと言えるのではないでしょうか。

調査結果の分析によれば、“キラキラネーム”が増えた背景には、人気のある名前の漢字表記が多様化したことが一因となっているよう。親の思い入れが、「音(おん)」だけでなく使う漢字にも及んだことで、しだいに当て字っぽくなっていってしまった、というのには納得感がありますね。

そんな傾向になんとなく違和感を感じた親たちが、あえて時代に逆行するような名前に注目した結果が、いわゆる“しわしわネーム”なのかもしれません。

キラキラネームが「良くも悪くも浮いて見えた」のと同じように、昔の定番だった名前を今の時代につけることは、やはり「良くも悪くも浮いて見える」ということ。“しわしわネーム”をつけられた子どもたちは、それが定番化するまで、キラキラネームの子どもたちがそうだったように、いろいろ不便なことや面倒な思いを経験することになってしまうのでしょうか。