2. 「めずらしい名前だね」と言われて…
では、実際に“しわしわネーム”にあたる名前をつけられた子ども自身は、どのような気持ちでいるのでしょうか。名前によって子どもがどんな経験をしているのかに目を向けてみるのも、名づけのヒントになるかもしれません。
「学校の友だちは、“ゆいちゃん”とか“さくらちゃん”とかかわいい名前の子が多いです。私の名前は漢字で書くと読みづらいけど、読み方はちょっとおばあちゃんみたいな名前で。漢字だとみんな読めないからひらがなで書くこともあって、そうすると『めずらしい名前だね』と言われることもあります。別に嫌ではないけど、かわいい名前にも憧れるかな」
今回お話を聞かせてくれた小学6年生のAちゃんは、「暦」の意味合いがある漢字を使った少し古風な名前だそう。(実際の名前はあえて出さないことにしますね。)名前に不満はないもののお友だちから「めずらしい名前」と言われたことを不思議に感じたそう。読み方は古風なのに“漢字は難しい”というのも、イマドキだなと感じました。
音や響きはもちろん、名前をパッと見たときの文字の印象にこだわる人も多いもの。音が古風すぎるのはもちろん、すんなり読めないような難しい漢字も子どもにとって負担になることがあるのかもしれませんね。
3. キラキラすぎず、普通すぎない名前をつけたかった
一方、Aちゃんの名づけ親である両親は、どんな思いから名づけたのでしょう。そこには、ここ数年の間にママ・パパになった人なら「わかる」と共感してしまう、葛藤があったようです。
「私たち夫婦には『この漢字を絶対使いたい!』とか、『女の子なら…男の子なら…!』という理想は特にありませんでした。いわゆる“キラキラネーム”と言われるものはイヤ。でも普通すぎるのも…というのが夫婦そろっての気持ちでした。そこで思いついたのが娘の名前。音だけ聞くと古風な感じだけど、珍しい漢字を使えば存在感のある名前になるのでは、と思ったんです。ポジティブな意味を持つ漢字だったこともあって夫婦ともに気に入ってつけたのですが…。娘の名前が“しわしわネーム”に該当するとは思いもしませんでした」(40歳/Aちゃんのママ)
しわしわネームかそうでないかは、周りの人が名前を見てどう感じるか次第です。親にそんなつもりはなくても、周りから「しわしわネームだ」と言われたら、“しわしわネームをつけられた子”ということになってしまう…なんだか悲しいような気もしますね。