出産した場合に健康保険から受け取る「出産育児一時金」について、その支給額を来年度より、現行の42万円から47万円に変更すると各種メディアで報じられました。
最近増えている、出産や乳幼児育児に対する支援策。
出産前後は女性が働き方をセーブせざるを得ず、世帯収入への影響が出る家庭も多いもの。
また産後の体への負担は大きく、産後クライシスや産後鬱の可能性たワンオペ育児などの環境もあり、乳幼児育児中は周囲のサポートや支援が特に必要な時期と言えるでしょう。
一方で「少子化対策」となると、子育て費用だけでなく教育費の負担も大きいため、乳幼児期以降の支援を求める声もあるでしょう。
最近の政府の少子化対策に関係する制度変更を確認しながら、課題についても見ていきましょう。
出産準備金や出産育児一時金増額も、保育料無償化は限定的
今回5万円の増額となった「出産育児一時金」は、健康保険や国民健康保険などの被保険者、またはその被扶養者が出産したときに支給される制度です。
2009(平成21)年10月から原則42万円となり、直接支払制度も導入され、医療機関に直接支払われるようになりました。そのため、被保険者が出産にかかるまとまった費用を準備する必要はなくなりました。
ただ出産費用は年々増加しており、2019年の費用は以下の通り。
出産費用(2019年)平均値・中央値
- 全体:46万217円・45万1120円
- 公的病院:44万3776円・44万530円
- 私的病院:48万1766円・46万7805円
- 診療所:45万7349円・44万9300円
※公的病院とは、国公立病院、国公立大学病院、国立病院機構など
※私的病院とは、私立大学病院、医療法人病院、個人病院など
※診療所とは、官公立診療所、医療法人診療所、個人診療所、助産所など
実際には個人差ありますが、現状の中央値でも出産育児一時金のみではまかないきれないため、増額を有り難く思うご家庭は多いでしょう。
他にも、妊婦や0~2歳の子どもに対しては、ベビー用品や育児サービスなどで利用できるクーポン10万円分を配布する出産準備金の支給についても報じられています。
0~2歳児の子育ては、育児の中でも特にサポートや支援を必要とする時期。
ただし、0~2歳児の場合は「幼児教育・保育の無償化」の対象が住民税非課税世帯のみとなっており、保育園に預けるには保育料が必要となってます。
一時保育を利用するにも利用料金がかかったり、子どもがなかなか慣れず泣かれたりなどの理由で、利用を続けられないご家庭もあるでしょう。
筆者も子どもが3人いますが、0~2歳児期ははじめての育児に不安を抱いたり、児童館などへ出かけなければ相談する人がいなかったり、夜間授乳や夜泣き対応で常に睡眠不足だったり、子どもから片時も目が離せず神経を張り詰めたりと心身ともに大変でした。
現代は共働きが増えていることを踏まえても、今回の支援策とともに「幼児教育・保育の無償化」の対象を広げる必要性も高まっているでしょう。
内閣府による少子化の原因3つとは
そもそも政府は少子化の原因について、「未婚化の進展」「晩婚化の進展」「夫婦の出生力の低下」を挙げています。
また、この背景にあるものとして「仕事と子育てを両立できる環境整備の遅れや高学歴化」「結婚・出産に対する価値観の変化」「子育てに対する負担感の増大」「経済的不安定の増大等」など、実に多くの要因が挙げられています。
今回は出産時や0〜2歳への支援策となっていますが、少子化については出産前後はもちろんのこと、生き方の多様化、出産と育児の両立の困難、経済的な不安、教育費などさまざまな要因が重なっているでしょう。
政府は住民税非課税世帯やそれに準ずる世帯で学ぶ意欲がある学生が対象だった「大学無償化」について、第3子以降の多子世帯へ広げることを検討しますが、平均年収が上がらず物価高が続く日本の経済状況では、それ以外の世帯でも支援を必要とすると考えられます。
まとめにかえて
本来、結婚や出産は個々人の価値観によるものです。
ただ現代の日本において、子どもをもつことを希望する方が前向きに考えられるような政策の変更は今後も必要でしょう。



