年収600万円でも思い描いたように貯金に回せない
余程の余裕がない限り今の生活を切り詰めて学費を捻出するしかなく、さらに次子の進学にも備えなければならず「税金を差し引いて年収653万円もあるから余裕」ではありません。
とくに中学受験をするために小学生の頃から通塾をスタートした家庭では、子どもが10歳前後の頃からまとまった教育費を支払い続けることになります。
統計や調査で各年代の貯蓄額が取り上げられると、度々コメント欄が荒れることがありますが、富裕層のデータが入ってしまうと自ずと金額もアップしてしまいます。
現実世界を見ると、たとえダブルインカムであっても子育て世帯が毎月一定の金額を貯蓄に回しつつ、住宅ローンも払って子どもの教育費を出すのはそう簡単ではないのは明らかです。
そうでなければ、生活意識の調査で児童のいる世帯の60%が「生活は苦しい」と答えないでしょう。
子どもの進学資金を貯めたい。自分達の老後に備えたい。親の介護の問題もできればお金で解決したい。共働きで安定した生活を送っているように見えても、子育て世代の悩みは尽きません。
厚生労働省の同調査ではリアルな苦しみが浮き彫りになっています。高度経済成長期やバブル時代のような給与の右肩上がりは望めない今、妊娠中や子どもが小さい頃から節約や貯蓄について真剣に考えていきたいですね。
参考資料
- 厚生労働省「2021年国民生活基礎調査」Ⅱ各種世帯の所得等の状況
- 厚生労働省「共働き等世帯数の年次推移」
- 独立行政法人労働政策研究・研修機構「専業主婦世帯と共働き世帯 1980年~2021年」
- 文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」
- 文部科学省「令和3年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」
中山 まち子