ふるさと納税の控除4.住宅ローン控除
住宅ローン控除は一定要件の住宅を、住宅ローンを利用して取得した場合に、年末のローン残高の0.7%(※)を所得税額から差し引くことができる税額控除です。
所得税額から控除しきれなかった場合は、翌年の住民税から控除できます。
※2022年以降に住宅ローン控除が適用される場合
一般的に住宅ローン控除は控除額が大きいため、住宅ローン控除とふるさと納税を併用するとふるさと納税の控除上限額が大幅に下がってしまうと思いがちですが、控除上限額には影響はありません。
それは先に所得控除として寄附金額が控除され、所得税額が決定してから住宅ローン控除額が差し引かれるためです。
また、住宅ローン控除額が所得税から控除しきれず、住民税から控除する場合にも、控除できる住民税の限度額が設定されているため、ふるさと納税による住民税の控除分には影響しません。
ふるさと納税のワンストップ特例制度を利用する場合は、寄附金控除の全額が住民税から控除されるため、所得税額から控除される住宅ローンには影響せず、併用しても問題ありません。
住宅ローン控除とふるさと納税の併用によって問題が出てくるケースは、確定申告をして所得控除である寄附金控除を行う場合です。
控除によって課税所得が減り、所得税額が減ると住宅ローン控除の控除できない額が増え、控除しきれない分を住民税から控除しても限度額以上の控除はできないため、限度額を超えた場合は節税できずに無駄になります。
これはふるさと納税に限らず、医療費控除や生命保険料控除、iDeCoの掛金控除でも同様に起きる可能性があります。
ワンストップ特例制度を利用すれば併用に問題はありませんが、住宅ローン控除は1年目は必ず確定申告をする必要があるので、その年はワンストップ特例は使えないことになります。住宅ローン控除の控除額が大きい場合は留意しておきましょう。
※金額を提示しているものは概算です。実際の金額とは異なります。
まとめにかえて
年収400万円に焦点をあてて、ふるさと納税の控除上限額について解説しました。
ふるさと納税は自治体を選んで寄附をすると返戻品を受け取れることから、人気の制度となっています。
控除上限額は収入や家族構成だけでなく、各種控除によっても変化するので、目一杯寄附をしたい人は仕組みを理解しておくと、ふるさと納税を有効に活用できるでしょう。
参考資料
石倉 博子