2. 70歳代でひとりの世帯。その貯蓄分布とは

では、70歳代・ひとり世帯の貯蓄について、金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和3年)」より円グラフで見ていきましょう。

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和3年)」をもとにLIMO編集部作成

【70歳代ひとり暮らしの貯蓄】

平均額…1786万円
中央値は800万円。
※平均は一部の富裕層に影響されるため、中央値を参考。

円グラフを見ると貯蓄ゼロの割合が25.1%と最も多い割合を占めています。4人に1人は貯蓄ができていないという現実があるようです。

次に多い割合は、「2000~3000万円以上」となり、70歳代の貯蓄事情はかなり差が生まれている状況です。

日本の貯蓄割合は、世帯主が65歳以上の世帯では貯蓄額が2500万円以上の割合が3分の1を占めているというデータもあります。一方でその内情は大きく二極化しており、個人差が大きいといえます。

老後生活は、時間にもゆとりにもでき、趣味や旅行、身内や友人との付き合いを楽しみにされている方も多いでしょう。

その反面で、高齢になるほど病気や介護の費用を気にかける必要もでてきます。

また、これから先の物価上昇などを考慮すると、わずかな貯蓄で70歳代を迎えることは心もとないことがよく分かります。

日本人の平均寿命「男性81.74歳、女性87.57歳」

近年、「人生100年時代」や「長生きリスク」という言葉をよく耳にします。

厚生労働省「令和3年簡易生命表の概況」によると、日本人の平均寿命は男性81.74歳、女性87.57歳となっています。

出所:厚生労働省「令和3年簡易生命表の概況」(2022年7月29日公表)

70歳代の場合、未婚の方に加えて、配偶者が亡くなりひとり暮らしになる方が増え始める年代でもあります。

特に、女性は男性よりも寿命が長い傾向があり、認知症リスクを念頭に対策を講じる必要を感じます。女性の場合、ライフイベントを機に働き方を変える方も多いため、老後は国民年金のみという状況にもなりかねません。

では、「ひとり分の年金」はいくらぐらい受け取れるのでしょうか?次項で確認しましょう。