10月になりました。この秋から冬にかけて、定年退職を迎える方もいらっしゃるでしょう。

定年後に考えるべきなのがお金のこと。昨今は年金だけで生活できる方は少なく、できるだけ働き続ける方が増えました。

しかし、働いて多くの給与をもらいすぎると、年金がカットされるとお聞きになった方もいるかもしれません。

高齢者を悩ませる「47万円の壁」の正体、在職老齢年金について知っておきましょう。

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1. 定年退職後も60歳代は働くべきなのか

定年後に働くべきかリタイヤすべきか、悩むことも多いもの。

一昔前は悠々自適な老後生活が当たり前のイメージでしたが、最近では働く70歳代もめずらしくありません。

定年退職は企業によって60歳や65歳などさまざまですが、その後に働くことを考えている方もいるでしょう。

総務省「統計トピックス No.129 統計からみた我が国の高齢者 (2021年9月19日公表)」によると、65歳以上のうち就業している人は906万人に上ります。

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出所:総務省「統計トピックス No.129 統計からみた我が国の高齢者 (2021年9月19日公表)」

出所:総務省「統計トピックス No.129 統計からみた我が国の高齢者 (2021年9月19日公表)」

推移を見れば、働くシニアが増えているのは一目瞭然ですね。実態としては、正規雇用としてフルで働く方、非正規雇用として週に数日働く方などいろいろです。

参考までに、日本労働組合総連合会の「高齢者雇用に関する調査2020」によると、60歳以上の1ヵ月の賃金平均は18万9000円でした。

もし老後に平均並みの給与が受け取れれば、生活は安泰に感じるでしょう。ここに年金も加われば、収入として安定します。

逆に言えば、もし年金の受給額見込みが少ないのであれば、働く必要性が高まるということです。

2. 働きすぎも注意?在職老齢年金とは

ただし、年金をもらいながら働く方は「在職老齢年金」に注意しましょう。

厚生年金に加入していた会社員や公務員等は、国民年金(基礎年金)に加えて老齢厚生年金も受け取れます。

しかし、老齢厚生年金を受け取りながら働く場合、老齢厚生年金と給与・賞与(総報酬月額相当額)に応じて、年金の一部または全部の支払いが停止されるのです。これを「在職老齢年金」といいます。

2.1 在職老齢年金は2022年4月に改正

2022年4月の改正により、年金額の調整がかかる金額は「基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円以下」となりました。

基本月額とは、老齢厚生年金の年金額を12ヵ月で割った金額のこと。また総報酬月額相当額とは、「毎月の議員報酬(上限65万円)」と「1年間の期末手当の総額を12ヵ月で割った額」を合計した額のことです。

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出所:日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」

出所:日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」

2.2 対象は「厚生年金に加入して働く」場合のみ

年金以外の収入があれば年金支給額が調整されてしまいますが、これはあくまでも「厚生年金に加入して働く」場合のみの制度です。

独立して個人事業主として働く場合、厚生年金には加入しませんので、この場合は対象外になります。つまり、老齢厚生年金は全額受け取れるのです。

定年退職後も継続して働く場合は、月額の給与や働き方も確認しておきましょう。

3. 年金受給額はいくら?確認方法

在職老齢年金を考えるときは、自身の年金見込額を把握することが大切です。ここでは、受給額を知る2つの方法をご紹介します。

3.1 年金受給額を知る方法1:ねんきんネット

日本年金機構が運営するねんきんネットであれば、最新の年金記録をいつでも見ることができます。また働き方を変えた場合を想定し、「将来受け取る老齢年金の見込額」を試算することもできます。

登録方法は以下の2つです。

  • ユーザーIDの取得:基礎年金番号やメールアドレスを利用
  • マイナポータルへの連携:マイナンバーカードを利用

3.2 年金受給額を知る方法2:ねんきん定期便

毎年の誕生月に送られてくるねんきん定期便があれば、それだけで将来の年金見込額を知ることができます。

ただし、50歳未満の方は注意しましょう。50歳未満の方の場合、「これまでの加入実績に応じた年金額」が表示されています。50歳以上になると「年額の見込額」が記載されます。

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出所:日本年金機構「「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド(令和4年度送付分)」

出所:日本年金機構「「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド(令和4年度送付分)」

現時点までの加入実績しか反映されていないため、本来の予定額よりも少ない金額となります。

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出所:日本年金機構「「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド(令和4年度送付分)」

出所:日本年金機構「「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド(令和4年度送付分)」

50歳以上の方に送られるねんきん定期便には、「今の働き方を続けた場合を想定した分も含んだ」見込額が記載されるため、より詳細にシミュレーションしやすくなります。

4. マネープランは総合的に考える

定年後の生活については、個人により考え方が異なるでしょう。多くの貯蓄で備え、きっぱりリタイヤする方もいれば、働く方もいます。同じ「働く」を選ぶ方も、その理由は「健康のため」「社会とのつながりのため」「お金の貯め」と理由はさまざまです。

大事なのは、こうした理想を叶えるために、不足するお金はしっかり確保しておくということ。特に在職老齢年金を知らなければ、せっかく働いても年金がカットされる恐れもあります。

将来の働き方について、少しずつ考えておきましょう。

参考資料

太田 彩子