特別養護老人ホーム(特養)と介護老人保健施設(老健)の違いがよくわからないという人もいるでしょう。
どちらの施設も介護保険が適用される「公的施設」です。しかし、施設としての役割は大きく異なります。
本記事では、特別養護老人ホームと介護老人保健施設の特徴や入居条件、費用などの違いをケアマネージャーである筆者が解説していきます。介護施設の入居を検討している方は参考にしてください。
「特別養護老人ホーム(特養)」と「介護老人保健施設(老健)」とは
まずはそれぞれの特徴を確認しましょう。
特別養護老人ホーム(特養)とは?
特別養護老人ホームは、終身の利用を前提とした生活施設です。「介護老人福祉施設」とも呼ばれています。
看取りケアを実施している施設も多く「終の棲家」としての役割も担っています。
また、特養の特徴の1つとして、施設の運営に公費が充てられるため安い費用で利用できることがあげられます。そのため、人気が高く入居できるまでの待機期間が長くなることもあります。
介護老人保健施設(老健)とは?
介護老人保健施設は、病院と自宅の中間のような施設です。
自宅へ帰ることを目的として看護と医学的な管理のもとで、リハビリに重点を置いた介護を提供しています。
入居期間は原則、3ヵ月と短期間の入居が大半です。
「特養」と「老健」の違い4つ。入居条件や費用、サービスを確認
では、それぞれの施設の違いを確認していきましょう。
「特養」と「老健」の違い1. 入居条件
入居条件の違いは次の通りです。
特別養護老人ホームの入居条件
自宅で生活を送ることが難しい要介護3〜5の認定を受けた人が入居対象です。
ただし、要介護1・2の方についても、やむを得ない事情により、特養以外での生活が困難であると認められる場合には、特例的に入居が可能です。
介護老人保健施設の入居条件
病状が安定し、入院による治療などの必要がない要介護1〜5までの人が入居対象です。
「特養」と「老健」の違い2 . 費用
特養と老健は、どちらも公的施設のため初期費用(入居一時金)は不要です。
基本的に必要な費用は月額費用のみです。その内訳は「施設サービス費」「居住費」「食費」「日常生活費」となります。
ただし、所得や要介護度、利用する居室の種類など個人の状況によって支払う料金は異なります。
特別養護老人ホーム(特養)の利用者負担
従来型個室の場合、要介護1で557円、要介護5で829円です(1割の場合・1日につき)。
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出所:厚生労働省「どんなサービスがあるの? - 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」
介護老人保健施設(老健)の利用者負担
要介護1で介護保健施設サービス費1の場合、基本型(i)で698円です。(1割の場合・1日につき)
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出所:厚生労働省「どんなサービスがあるの? - 介護老人保健施設(老健)」
なお、施設で受けた医療ケアの料金は、規定の範囲内であれば施設サービス費に含まれます。
「特養」と「老健」の違い3. サービス
特別養護老人ホーム(特養)のサービス
特養では、入浴や排泄、食事など生活全般の介護や掃除、洗濯などの生活支援を受けられます。健康管理や機能訓練、レクリエーションも行われています。
日常的な医療ケアが必要な人の対応範囲は、施設によって異なります(痰の吸引や経管栄養(胃ろう)など)。
介護老人保健施設(老健)のサービス
老健では、リハビリを中心とした医療ケアが充実しています。そのため、常勤の医師や看護師、リハビリを担う理学療法士などの医療の専門職が手厚く配置されています。
リハビリの内容は、在宅復帰を目指した実践的なもので、歩行練習や動作練習、筋力を強化する訓練などが行われています。
回数は週2回以上と規定がありますが、施設によって入居から3カ月間は週3回以上の短期集中リハビリを受けることも可能です。
「特養」と「老健」の違い4 . 設備の違い
特養と老健では、いずれも生活に必要なベッドやトイレ、浴室、食堂といった設備が完備されています。老健ではリハビリ室(機能訓練室)の設備が充実しています。
また、居室のタイプは特養と老健のどちらも、「ユニット型個室・ユニット型個室的多床室・従来型個室・多床室」の4種類が主流となっています。
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出所:厚生労働省「施設サービス等について」
最近では、プライバシー保護の観点からユニット型個室に転換する施設が増えています。
「特養」と「老健」の特徴まとめ
特養と老健の特徴について説明してきましたが、以下にそれぞれの特徴をまとめます。
特別養護老人ホームのまとめ
- 原則、要介護3以上が対象
- 終身で利用できる生活施設
- 日常生活上の支援や機能訓練などのサービスが受けられる
- 入居希望者が多く、待機期間が長くなる
- 医療ケアが必要になると、退去を求められる場合がある
介護老人保健施設のまとめ
- 要介護1以上が対象
- 自宅へ帰ることを目的としている施設
- リハビリや医療ケアのサービスが受けられる
- 医師、看護師、理学療法士などの医療職の配置が手厚い
- 利用期間は原則3カ月
まとめにかえて
特養と老健では、施設としての役割に大きな違いがあります。
介護施設への入居を検討する時には、施設の特徴や入居条件、費用を確認してご自分の生活スタイルや希望に合った施設を選択しましょう。
どうしても施設選びに困った時には「地域包括支援センター」や「担当ケアマネジャー」「民間の紹介センター」などの相談窓口を活用すると良いでしょう。
参考資料
- 厚生労働省:介護老人福祉施設
- 厚生労働省:介護サービス情報公表システム
- 厚生労働省:介護老人保健施設
- 厚生労働省:介護サービス情報公表システム
- 厚生労働省:社会保障審議会・介護保険部会(第 48 回)
中谷 ミホ
