1. 厚生年金の「平均受給額」にひそむ3つの落とし穴
まずは厚生年金の平均受給額に潜む3つの落とし穴について解説します。
1.1 厚生年金の落し穴1:厚生年金の受給額は「国民年金込」の金額
公的年金は「国民年金(1階部分)と厚生年金(2階部分)の2階建」だと聞いたことがあるかもしれません。
そのため、「厚生年金の受給月額」ときくと2階部分だけの金額で、国民年金分は別途もらえるようにも思います。国民年金に上乗せされる形で支給される「厚生年金」ですので、手厚いイメージもあります。
しかし、厚生労働省などが公表する厚生年金の受給月額は「国民年金を含んだ金額」で算出されています。
老後を迎えてから、「思っていたより少ない…」と困らないためにも基本的な構造を抑えておきましょう。
1.2 厚生年金の落し穴2:厚生年金は報酬比例の年金=個人差「大」
1階部分の国民年金は、国内に住む20歳から60歳までの方に加入義務があり、毎月の保険料は一律となっています(自営業者や扶養されている配偶者などが該当)。保険料が一律のため、国民年金の年金額は加入月数によって影響を受けます。
2階部分の厚生年金は、国民年金に上乗せして、公務員や会社員などが加入する年金制度です。
国民年金は、保険料の額も将来もらえる金額も定額になっていますが、厚生年金の場合は、報酬比例の年金となっています。年収に応じた保険料を納めるため、将来受け取れる年金額は、支払った保険料と加入期間の2つの要素に影響を受けます。
そのため、国民年金とほとんど差がない人から30万円を超える人まで受給額の格差が大きいのが特徴です。
1.3 厚生年金の落し穴3:厚生年金は男女格差が顕著
昨今、老後の女性の貧困も問題視されています。
そのため、結婚・出産・育児などで働き方を変えることの多い女性の方がもらえる年金が男性に比べると低い傾向があります。
先述したとおり、厚生年金は「年収」「加入期間」が将来の受給額に影響します。
「フルタイムから時短勤務」「正社員からパート」「会社員から専業主婦」など家庭の状況に応じて働き方を考える場面もあるかと思いますが、将来の年金という観点も取り入れると良いかもしれません。