2022年10月からは、年収が106万円を越えると健康保険や厚生年金などの社会保険に加入することになります。「106万円の壁」ということで、巷で話題になっていますね。
やはり「同じ働くならお得な働き方をしたい」というのは誰もが感じるところ。
しかし、いったい何がお得なのか?いくらまで働くのがお得なのか?いろんな壁があって、実際は判断が付きにくいものです。
まずは数字の壁を整理して、何を軸にするのか考えてみるとよいかもしれません。今回は「103万円・106万円・130万円・150万円の壁」について解説します。
それぞれのお得ポイントをしっかり理解し、自分にとってのメリットを見つけましょう。
103万円と150万円は税金の壁
「103万円の壁」と「150万円の壁」は、所得税に関する壁です。それぞれについて詳しく説明します。
税金の壁1:「103万円の壁」
年収が103万円以内であれば、所得税はかかりません。年収103万円を超えると、超えた所得に対して所得税(5%~45%)、住民税(約10%)がかかります。103万円の内訳は以下のとおりです。
- 103万円=55万円(給与所得控除※1)+48万円(基礎控除※2)
※1 給与所得控除とは、収入ではなく所得を計算するとき、給与等の収入金額から、個人事業主などの経費の役割となる給与所得控除額を差し引いて算出します。給与所得控除額は、給与等の収入金額に応じて違いがあります。
※2 基礎控除とは、所得税の額を算出する際、所得から一定の金額を差し引く所得控除です。
所得控除は15種類あり、そのうちの1つが配偶者控除です。配偶者控除とは、納税者(夫など)に妻がいて、年収が103万円以下であれば、配偶者控除が受けられます。
配偶者控除を受けることができれば、夫の負担する所得税が安くなります。
103万円の壁以下に年収を抑えることで、自分自身の所得税がかからず、夫の所得税も安くできるという効果があります。
税金の壁2:「150万円の壁」
先述した15種類の所得控除には、配偶者特別控除というものもあります。
150万円の壁とは、夫が配偶者特別控除の満額38万円を受けるための、妻の年収条件となります。
配偶者特別控除を満額受けるには、夫の所得が900万円以下(年収1095万円)、妻の年収が150万円以下となる必要があります。夫も妻もそれぞれの上限を超えると、段階的に控除額が減っていく仕組みとなっています。
106万円と130万円は社会保険の壁
「106万円の壁」と「130万円の壁」は社会保険に加入することになる壁です。
2022年(令和4年)10月から、従業員の数が常時101人以上の中小企業などで働くパート・アルバイトは、年収106万円以上になった時点で、健康保険・厚生年金などの社会保険に加入することになりました。
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出所:厚生労働省「社会保険適用拡大 特設サイト」
詳しい要件は以下の5つがあります。
- 従業員101名以上の企業で働く人(今までの501人以上から変更になりました)
- 収入が月8万8000円(8万8000円×12か月=105万6000円)を越える人
- 週20時間以上働く人
- 雇用期間の見込みが2か月以上の人(今までの1年以上から変更になりました)
- 学生ではない人
上記の要件に該当しない事業所にお勤めの場合、年収130万円までであれば、社会保険に加入することなく、夫の扶養家族のままでいられます。
もし、年収が106万円以上になれば、社会保険に加入することになり、給与から厚生年金保険料や健康保険料を負担することになります。
仮に、年収108万円(月9万円)の給料だとすると、毎月の健康保険料が4316円、厚生年金の保険料が8052円となり、合計で12368円。年間にすると約15万円を負担することになります。(健康保険は東京けんぽ40歳未満の9.81%)。
収入108万円に対して、約15万円の社会保険料を引くと、手取りは93万円になってしまいます。さらに、所得税と住民税を支払う必要もあり、実質はもっと手取りが減ります。
なお、2024年(令和6年)10月には、従業員数が51人以上の事業所も対象になる予定です。そのときは、年収106万円以下で夫の扶養に入るか、社会保険に加入するか検討することになるでしょう。
106万円の壁を超え社会保険に加入することになれば、手取りが減ることに意識が向きがちですが、長い目で見れば「老後に受け取る年金が増える」「傷病手当金や出産手当金の対象になる」などのメリットもあります。
扶養内のままであれば、65歳から受け取る年金は1階(基礎年金部分)だけです。しかし、厚生年金保険に加入すると、年金は1階(基礎年金部分)に加え、2階(報酬比例部分)も支給されます。
また、健康保険に加入し、「傷病手当金」や「出産手当金」などを受け取ることができれば、病気やケガで働けない場合でも給与の3分の2相当が、最長1年6か月支給されます。
さらに出産のため会社を休み給与が支払われないとき、出産手当金として、産前42日・産後56日までの間、給与の3分の2相当が支給されます。
まとめ
配偶者控除は103万円の壁、配偶者特別控除を満額受ける場合は150万円の壁までは、それぞれ所得税のメリットが受けられます。
しかし、その間に存在する106万円の壁・130万円の壁を超えて働けば、社会保険料の負担が発生します。
どの壁を意識するかは、夫の年収や家庭環境によって変わってきます。パート主婦にとって心と身体に負担がかからず、夫の収入をあわせた世帯年収が増える働き方を探りましょう。
参考資料
- 国税庁「No.1410 給与所得控除」
- 国税庁「No.1100 所得控除のあらまし」
- 国税庁「No.1410 給与所得控除」
- 全国健康保険協会「令和4年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)」
- 厚生労働省「社会保険適用拡大 特設サイト」
舟本 美子
