あっという間に9月となり、上半期の締めに向けて慌ただしい日々となりました。
ふと自分自身のキャリアと向き合う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
自分のキャリアや年収は、今の生活に直結するためとても大事なものです。同時に、将来の年金受給額にも大きな影響を与えることはご存知でしょうか。
現在年金を受給している方の受給額を調査した資料、厚生労働省の「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、男性と女性の年金受給額では年間で72万円もの差があることがわかりました。
詳しくみていくとともに、年金が少ない方の老後対策を考えていきましょう。
【注目記事】厚生年金の見込みが20万円だった男性。手取りの少なさに愕然としたワケ
1. 年金額に差が出るのは主に厚生年金
公的年金には、国民年金(基礎年金)と厚生年金(被用者年金)があります。
1/3
出所:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり」(令和4年4月)・厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」をもとにLIMO編集部作成
1.1 国民年金
国民年金は1階部分に位置し、公的年金のベースとなることからも、基礎年金と呼ばれます。日本に住む20歳~60歳未満の方が原則加入し、働き方によってさらに3つにわかれます。
- 第1号被保険者:自営業、20歳以上の学生など
- 第2号被保険者:会社員や公務員など
- 第3号被保険者:第2号被保険者に扶養される配偶者
このうち、国民年金の第2号被保険者である公務員や会社員は、2階部分である厚生年金にも加入します。
1.2 厚生年金(2階部分)
厚生年金には、公務員や会社員が国民年金に上乗せして加入できます。報酬に応じた保険料を支払い、これにより将来の年金額が決まります。
上記の仕組みから、厚生年金の受給額は現役時代の報酬に左右されることがわかります。
また、そもそも国民年金にしか加入していない方は、厚生年金加入者と比べて受給額が少ないことが予想できます。
次では実際の受給額に迫ります。
2. 厚生年金の受給額(男女別)はいくらか
ここからは、厚生労働省の「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考に、実際に受給されている厚生年金の金額を男女別に見ていきます。
2/3
出所:厚生労働省「令和2年度厚生年金国民年金事業の概況」
2.1 男子の受給額
- ~5万円未満:13万857人
- 5万円~10万円未満:99万1194人
- 10万円~15万円未満:262万1055人
- 15万円~20万円未満:444万7680人
- 20万円~25万円未満:223万4397人
- 25万円~30万円未満:27万4715人
- 30万円以上:1万6346人
2.2 女子の受給額
- ~5万円未満:30万637人
- 5万円~10万円未満:233万4675人
- 10万円~15万円未満:225万2994人
- 15万円~20万円未満:42万7547人
- 20万円~25万円未満:6万3507人
- 25万円~30万円未満:4154人
- 30万円以上:375人
2.3 平均年金月額
- 男子16万4742円
- 女子10万3808円
- 男女平均額:14万4366円
平均が「14万4366円」と聞くと、それなりに受給している印象を受けます。夫婦なら単純に30万円近い金額に思えますね。
しかし、実際には男女の平均に6万円もの差があります。
平均だけでなくボリュームゾーンに注目しても、男性で多いのは「15万円~20万円未満」、女性で多いのは「5万円~10万円未満」です。
なぜここまで差が生まれるのでしょうか。
3. 【厚生年金】男女の受給額に72万円の差が生まれる理由
注意したいのは、男女で年金額に差があるのは現在のシニア世代の実情です。今の現役世代が年金を受給する頃には、状況が変わっている可能性も高いです。
この点を踏まえて、男女の受給額に差が出る理由を2つ見ていきましょう。
3.1 原因1. 女性の賃金が安かった
厚生年金の受給額は、現役時代の報酬と加入期間によって決まります。今のシニアが現役時代だった頃、女性の賃金は低い傾向にありました。
現在では総合職や管理職に就く女性も増え、賃金格差は埋まりつつあると言えます。
ただ、厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業年報」の標準報酬月額別被保険者数の分布を見る限り、男子では上限の第 32 級(65 万円)が 208 万人と最も多くなっている一方、女子は第 15 級(22 万円)が 159 万人と最も多くなっており、まだ完全に同水準とは言えません。
3/3
出所:厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業年報」
今後も男女差はしばらく続いていくでしょう。
3.2 原因2. 女性が働く期間は短かった
厚生年金の受給額には、賃金だけでなく加入期間も影響します。当時は結婚で退職するのが当たり前の時代でした。
もし続けていたとしても、出産や介護などで離職することも多かったでしょう。
もしくは、1度も就職せずに結婚して専業主婦になった後、子どもが巣立ったタイミングで厚生年金に加入した方もいます。
一方、男性では40年前後正社員として勤務する方が一般的であるため、こうした背景から受給額に差が出たと考えられます。
4. 現役世代が考えるこれからの年金
年金受給額の実態について見ていきました。年間72万円というのは、あくまでも「厚生年金受給者」の差です。
40年間専業主婦だった方も多く、この場合の差額は約11万円(男性の厚生年金平均:16万4742円―女性の国民年金平均:5万4112円)となり、年間では132万円にもなります。
2022年10月からはパートでも厚生年金に加入できる要件が拡大されますが、手取りが減ることを懸念して躊躇する方もいます。
しかし、将来の年金や保障を考えると、厚生年金への加入を考えてみるのも一つでしょう。
参考資料
太田 彩子
