3. 【厚生年金】男女の受給額に72万円の差が生まれる理由

注意したいのは、男女で年金額に差があるのは現在のシニア世代の実情です。今の現役世代が年金を受給する頃には、状況が変わっている可能性も高いです。

この点を踏まえて、男女の受給額に差が出る理由を2つ見ていきましょう。

 

3.1 原因1. 女性の賃金が安かった

厚生年金の受給額は、現役時代の報酬と加入期間によって決まります。今のシニアが現役時代だった頃、女性の賃金は低い傾向にありました。

現在では総合職や管理職に就く女性も増え、賃金格差は埋まりつつあると言えます。

ただ、厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業年報」の標準報酬月額別被保険者数の分布を見る限り、男子では上限の第 32 級(65 万円)が 208 万人と最も多くなっている一方、女子は第 15 級(22 万円)が 159 万人と最も多くなっており、まだ完全に同水準とは言えません。

出所:厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業年報」

今後も男女差はしばらく続いていくでしょう。

3.2 原因2. 女性が働く期間は短かった

厚生年金の受給額には、賃金だけでなく加入期間も影響します。当時は結婚で退職するのが当たり前の時代でした。

もし続けていたとしても、出産や介護などで離職することも多かったでしょう。

もしくは、1度も就職せずに結婚して専業主婦になった後、子どもが巣立ったタイミングで厚生年金に加入した方もいます。

一方、男性では40年前後正社員として勤務する方が一般的であるため、こうした背景から受給額に差が出たと考えられます。