国税庁によると、令和元年の相続財産は合計で16兆7524億円に上ります。

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国税庁「令和元年分 相続税の申告事績の概要」

不動産を相続したときは、速やかに名義変更しなければなりません。

しかし頻繁にあることではないため、何を準備すれば良いかわからない方も多いでしょう。

ここでは相続不動産を名義変更するための必要書類と、司法書士へ依頼したときの費用相場などを解説します。

1. 被相続人(亡くなった人)の必要書類

それでは被相続人の必要書類からお伝えします。

1.1 被相続人の必要書類1. 出生から亡くなるまでの戸籍謄本

被相続人(亡くなった人)が生まれてから亡くなるまでの、すべての履歴がわかる戸籍謄本が必要です。最終の除籍謄本に出生と死亡の記載がありますが、それだけでは足りません。

生まれたときの親や祖父母が筆頭者の戸籍謄本から始まり、筆頭者が変わっていればそのときのもの、さらに婚姻や転籍をしていればそこで作ったもの、他にも本籍地の除籍謄本なども必要です。

人によっては数がとても多く、遠隔地の市区町村で取得する場合はかなり手間がかかります。

1.2 被相続人の必要書類2. 被相続人の住民票の除票、または戸籍の附票

相続不動産の登記簿に記載されているのと、同じ住所の住民票が必要です。前述の戸籍謄本には住所が記載されていないため、不動産の所有者と亡くなった人が同じであることを証明するためです。

住民票の除票とは、本人が亡くなって住民登録が解除された状態の住民票のことです。

あるいは住所の記載がある戸籍の附票でも構いませんが、戸籍謄本とは別なので注意しましょう。

2. 相続人(相続する人)の必要書類

次に相続人(相続する人)の必要書類を解説します。

2.1 相続人の必要書類1. 法定相続人全員の戸籍謄本

法定相続人全員の、現在の戸籍謄本が必要です。新たな名義人になる人だけではない点に注意しましょう。日付は被相続人が亡くなった後のものです。

2.2 相続人の必要書類2. 相続人の住民票

不動産を相続する人の住民票が必要で、相続しない人の住民票はいりません。こちらも戸籍の附票でも代用できます。

2.3 相続人の必要書類3. 遺産分割協議書

法律で定められた相続割合以外で、名義を持つ場合に必要です。遺産分割協議書とは相続人の間で話し合って決めた、誰が相続するかやそれぞれの割合を示す書類です。

2.4 相続人の必要書類4. 印鑑証明

遺産分割協議書と一緒に相続人全員の印鑑証明を提出します。遺産分割協議書には相続人全員が実印で押印するためです。

2.5 相続人の必要書類5. 固定資産評価証明

相続不動産の登記における、登録免許税の計算に必要です。被相続人が亡くなったときのものではなく、最新年度のものを提出します。

2.6 相続人の必要書類6. 遺言書

被相続人が残した遺言書の内容で相続登記するときは、その遺言書が必要です。公証役場で作成した公正証書遺言の場合は、作成時に公布された謄本でも構いません。自筆証書遺言の場合は、事前に家庭裁判所で検認手続きが必要になります。

2.7 相続人の必要書類7. 相続放棄申述受理証明書

家庭裁判所で相続放棄手続きをした相続人がいる場合は、相続放棄申述受理証明書が必要です。相続放棄した相続人の戸籍謄本などは必要なく、遺産分割協議にも参加する必要はありません。

3. 相続による名義変更登記の費用相場

司法書士へ相続による名義変更(所有権移転)登記を依頼すると、主に司法書士報酬、登録免許税、書類取得費、書類作成費がかかります。

ここではその費用の相場を紹介しますが、実際には不動産や相続人の条件などで変わります。具体的な費用は直接、司法書士に問い合わせするようにしましょう。

3.1 司法書士報酬

日本司法書士会連合会によると、相続による所有権移転登記の報酬相場はおよそ6万5000円です。これは相続する土地及び建物が1つずつで、固定資産評価額が合計1000万円、法定相続人が3人で1人が単独相続した場合です。これらの条件が変われば報酬も変動します。

3.2 登録免許税

相続登記をするときは登録免許税を納めます。税額は固定資産評価額の0.4%で、例えば2000万円の固定資産評価額なら8万円の登録免許税になります。

3.3 書類取得費

前半でお伝えした各種の書類を取得するには、役所の窓口で支払う手数料や遠方から郵送してもらう実費がかかります。書類の数にもよりますが、数千円から1万円程度のケースが多いようです。

3.4 書類作成費

遺産分割協議書や相続関係説明図などの書類が必要なら、それを司法書士に作成してもらう費用もかかります。こちらも数千円から1万円程度が相場です。

4. 相続による名義変更登記の流れ

相続による名義変更登記の流れは以下のようになります。

  1. 不動産を管轄する法務局で不動産の登記事項を確認
  2. 必要書類を役所に出向くか郵送で取得
  3. 戸籍謄本を読み解き相続人を確定
  4. 必要なら遺産分割協議書を作成し相続人全員の押印をもらう
  5. 所有権移転登記の申請書を作成
  6. 法務局に登記を申請
  7. 不備があれば補正する

主なものだけでも、これだけの耳慣れない作業があります。また不動産が複数あったり権利関係が複雑であったり、連絡が取れない相続人がいたりすれば、必要な作業はさらに増えます。かんたんなイメージのある登記かもしれませんが、相続の場合はかなり面倒であると言えます。

5. 相続は自分で名義変更可能だが任せた方が良い

相続不動産の名義変更を自分で行い、費用を浮かせようと考える方がいるかもしれません。もちろんネットで調べたり、法務局に問い合わせたりすれば可能でしょう。しかしそれで削減できるのは、司法書士報酬と書類作成費だけです。

一方で必要な書類は非常に多く、やることは初めての方にとって手間のかかることばかりです。

時間が十分あり手間を惜しまない方は良いかもしれませんが、日中仕事をしている方にはかなり難しい作業です。

相続不動産の名義変更は任せた方が現実的な代理業務と言えるでしょう。

参考資料