自己負担が2割へ増額、対応策には高額療養費制度の活用を
今回の医療費負担の改正などで、自己負担割合が上がる可能性がある人、それ以外の1割負担・3割負担の人であっても、75歳以上という年齢を考えれば、病院に通院する可能性高くなってしまうことが考えられます。
そのようなときは、医療費の負担額を抑えるためにも「高額療養費制度」を活用しましょう。
高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払った額が、1ヵ月間(月の初めから終わりまで)で上限額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度です。
対象となるのは、医療費や薬代など治療にかかったもののみとなるため、入院した際の食費代、ベッド代等は含まれませんので注意しましょう。
高額療養費制度の毎月の上限額は、対象者の年齢が70歳を境にそれ以上か未満となるかということと、所得水準によって分けられます。
70歳以上の方には、外来だけの上限額も設けられています。70歳以上の高額療養費一覧は以下のとおりです。
もし、1つの医療機関等での医療費や薬代などだけで、上限額を超えないときでも、同じ月に、別の医療機関等にかかった分も合算することができます。
もし、合算額が上限額を超えれば、高額療養費の支給対象になります。
同一世帯であれば医療費が合算できる(世帯合算)
医療費の窓口負担を複数回合わせたとしても、高額療養費のひと月ごとの上限を超えない場合、同じ世帯の人にかかった医療費も合算できます。これを世帯合算といいます。
ただし、合算できる人は、同じ医療保険に加入している方に限ります。もし夫婦の場合、ともに後期高齢者であれば、世帯合算ができます。
しかし、夫が後期高齢者で、妻が75歳未満で国民健康保険や協会けんぽなどに加入している場合は合算できません。同一世帯の範囲にはくれぐれも注意しましょう。
執筆者
2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士。会計事務所で10年、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として14年勤務したのち、FPとして独立。ひとりひとりのお金に対する価値観を大事にしながら、ムリのない節約術を提案している。他のメディア媒体でも、お金に関する記事の執筆を行う。読者がすっと理解できるよう、文章の構成や表現などを意識している。LIMO編集部では、お金やペットの記事を執筆。自宅では、3匹の猫(12歳~19歳)と暮らしており、猫の健康管理や介護は得意分野。趣味は、落語、宝塚。愛読書は、P・G・ウッドハウスのジーヴスシリーズ(2023年11月20日更新)。
監修者
株式会社ナビゲータープラットフォーム メディア編集本部
LIMO編集部記者/編集者/元公務員
京都教育大学卒業。くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」のLIMO編集部で、厚生労働省管轄の公的年金制度や貯蓄、社会保障、退職金など、金融の情報を中心に執筆中。大学卒業後は教育関連企業での営業職を経て、2010年に地方自治体の公務員として入職。「国民健康保険」「後期高齢者医療制度」「福祉医療」等の業務に従事した。主に国民健康保険料の賦課、保険料徴収、高額療養費制度などの給付、国民年金や国民健康保険への資格切り替え、補助金申請等の業務を担う。特に退職に伴う年金や保険の切り替えでは、手続きがもれることで不利益を被ることがないよう丁寧な窓口対応を心がけた。その後、保険代理店にてマーケティング業務に従事。保険料比較サイトの立ち上げに参加した。乗合保険会社の商品ページだけでなく、保険の知識を普及するためのページ作成にも参加。小学校教諭一種免許、幼稚園教諭一種免許、特別支援学校一種免許取得。
はたらく世代のお金の診断・相談サービスを行うマネイロでは、「【計算例付】厚生年金保険料はどのように決まる?ケース別算出方法や受給額を解説」など、お金や年金制度にまつわる記事を発信中。京都府出身。(2024年3月18日更新)