奨学金や教育費免除のハードル
さて、私立中のなかでも世帯年収によっては教育費の免除や奨学金が出る学校があります。
例えば、男子御三家の開成中学・高等学校では入学後に家計が急変した生徒への「授業料特別免除」「就学支援奨学金」と、志願者が出願以前または出願時に申請する「開成会 道灌山奨学金」の支援策があります。
しかし、一般的に見れば家計が安定している世帯年収600万円の家庭向けではありません。
道灌山奨学金の条件の一つが「年間所得218万円以下、または給与収入のみの場合収入額400万円以下の世帯の子弟」になっています。
とはいえ「平成30年度子供の学習費調査」によると、私立中に通う生徒の世帯年収の構成のうち600万円から799万円世帯の割合も16.8%と少なくないため、中学受験が無謀というわけでもありません。
一方、教育費の捻出に祖父母からの援助があったり、住宅ローンや家賃の支払いがほとんどないというケースも十分考えられます。
そのため、「16.8%もいるのだから我が家も挑戦できる」と数値を素直に受け止めることは危険です。純粋にお給料の稼ぎ以外で資産を保有している「年収600万円世帯」も存在しています。