人口減少社会での国土のあり方を議論すべき
鉄道の話を離れて、そもそも人口減少社会において国土をどう活用していくのか、という事も考えておきたいところです。
日本の人口が減っていけば、当然過疎地の人口も減って行くでしょう。過疎地は高齢者の比率が高く、また若者が都会へ出て行くとすれば、都市部への人口集中が進んで過疎地が一層過疎化します。
たとえば数人の高齢者だけが暮らす山奥の集落のために、道路を維持し、電気やガスや水道を供給し続ける余力が日本経済にあるのか、という事は真剣に議論する必要があると思います。
もちろん、住み慣れた土地を離れたく無いという人を無理やり都市部に移住させる事はできません。莫大な移住奨励金を支払って移住していただいたほうが、各種行政サービスを提供し続けるよりも安く済むかも知れません。
企業がリストラする時には、「割り増し退職金」を支払う事がありますね。それと同じ発想で、限界集落に「割り増し退職金」を払って集落ごと移住してもらう、という発想です。
これについても、「過疎地の高齢者が可哀想だから行政サービスを維持しつづけるべき」という人はいるでしょうが、そういう人には是非「過疎地の高齢者が可哀想だから行政サービスを維持しつづけてほしい。そのために必要なコストは我々都市部の住民が負担しつづけるから」と明言して欲しいものです。
本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。
塚崎 公義