新型コロナウイルスの第7波を受け、新規感染者数が増加しています。

コロナ禍の在宅勤務の影響により、オンラインで働くことがより一般的になりました。それに伴い、個人で業務を請け負う「フリーランス」という働き方が増えつつあります。

フリーランスであれば、会社員とは違い、勤務地・勤務時間・服装などの自由度が高く、自分らしく働ける点にメリットを感じる方が多いのではないでしょうか。

しかし、フリーランスという雇われない働き方は、会社員と比べ、医療や年金などの保障が少ないこともあり、良いことばかりではありません。

今回は、フリーランスの健康保険などの保障について、注意しておきたいことをまとめます。

フリーランスの社会保障が会社員より薄い理由

社会保障制度とは、国民の「安心」や生活の「安定」を支えるセーフティネットで、「社会保険」、「社会福祉」、「公的扶助」、「保健医療・公衆衛生」という4つの柱があります。

社会保険に含まれる年金・医療・介護の保障は、病気やケガ、老後の生活、介護などに遭遇したときでも、安定した生活をするためのものです。

また、社会保障制度は、もともと「労働者を守るため」という目的で整えられたという背景があります。そのため、社会保険などは、会社員にとって至れり尽くせりの制度となっています。

一方、誰かに雇われて働く労働者ではないフリーランスにとっては、社会保障が薄いという現実があります。

会社員との違い「フリーランスがケガや病気で働けなくなったとき」

会社員は病気やケガで給与が支払われないとき、その収入を補う2つの制度があります。

1つ目は労災保険制度といって、業務上の事由または通勤が原因で病気やケガをしたときに支払われる給付金があります。

2つ目は健康保険制度であり、業務以外が原因となる病気やケガをしたときに、支払われる給付金があります。それぞれについて、以下に詳しい説明を行います。

労災保険制度:会社員の業務中の事由または通勤が原因の病気やケガは労災保険から給付

会社員が労災保険の給付を受けるには、以下の3つの要件を満たす必要があります。

  1. 業務上の事由又は通勤による負傷や疾病による療養のため
  2. 労働することができない
  3. 賃金をうけていない

要件を満たせば、休業4日目から、休業1日あたり給与の約80%(休業(補償)給付60%+休業特別支給金20%)が支払われます。支給期間は、最大1年6ヵ月間です。

もし療養開始後1年6カ月経過し、その負傷又は疾病が治っておらず、所定の障害が残ってしまった場合は、傷病(補償)年金が支給されます。また、労災保険の掛金は、すべて会社が支払います。

一方、フリーランスの場合は「労働者ではない」という前提があるため、労災保険の対象から外れてしまいます。

しかし、労災保険には「特別加入制度」という制度があり、ITフリーランスなど一部の人は加入することができます。

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出所:厚生労働省「令和3年9月1日から労災保険の「特別加入」の対象が広がりました」

出所:厚生労働省「令和3年9月1日から労災保険の「特別加入」の対象が広がりました」

労災保険の特別加入制度を利用する場合は、まず、都道府県労働局長の承認を受けた「特別加入団体」を通して労働局長に申請します。労災保険料は、自身が希望する1日あたりの給付金(3500円から2万5000円)と職業によって決まり、すべて負担することになります。

健康保険制度:会社員の業務以外の病気やケガは健康保険から給付

会社員は、社会保険(協会けんぽ)や健康保険組合に加入しており、業務以外の病気やケガで働けなくなったとき、「傷病手当金」が支払われます。支給期間は、最大1年6ヵ月。1日あたりの給付額は、標準報酬日額の3分の2です。

一方、フリーランスが加入する国民健康保険は、会社員のような傷病手当金の支給はありません。

ただし、国民健康保険では、市町村によっては、条例により、新型コロナウイルス感染症に感染した場合のみ、傷病手当金が支給されます。

会社員は労働者として守られる立場ですが、フリーランスはそもそも労働者ではありません。

前提の違いで、病気やケガで働けないときの保障に大きな差があることがわかります。フリーランスは会社員に比べて社会保障が薄い分、自分自身の万が一をよりリアルに認識し、民間の保険や預貯金などでの備えが必要となります。

会社員との違い「フリーランスが出産したとき」

会社員が妊娠・出産により給与が支払われないとき、その産休中と産後にわけて収入を補います。

産休中は健康保険から、産後は雇用保険から、それぞれ給付金が支払われます。それぞれについて、以下に詳しい説明を行います。

会社員は協会けんぽなどから出産手当金の支給あり

会社員は、協会けんぽや健康保険組合に加入しており、産休(出産日以前42日から出産後56日まで)の間は、出産手当金が1日あたり標準報酬日額の3分の2支給されます。

一方、フリーランスが加入する国民健康保険からは、出産手当金の支給はありません。

会社員は雇用保険から育児休業給付金の支給あり

会社員が雇用保険の給付を受けるには、以下の2つの要件を満たす必要があります。

  1. 雇用保険の被保険者であること
  2. 休業前の2年間に就業日数(賃金支払基礎日数)11日以上の月が12ヵ月以上あること

要件を満たせば、産休終了後~子どもが1歳に達するまで(最長2歳まで延長可能)の間は、育児休業給付金が支給されます。

支給金額は、育児休業の開始(出産後56日を超えて)から6ヵ月間は、休業前の賃金月額の67%、7カ月目以降は50%が支給され、支給時期によって異なります。

一方、フリーランスは、自分自身が業務を請け負う立場です。会社に雇用されているわけではないため、雇用保険に加入できず、育児休業給付金は支給されません。もし、妊娠・出産を理由に仕事を休めば、休んだ分だけ収入がなくなってしまうのです。

フリーランスの保障まとめ

フリーランスの働き方は、会社員と比較にならないほど自由度があります。

しかし働けないときの社会保障は、会社員と比べると薄くシビアだと感じることでしょう。不足している保障に対する備えを考えておきましょう。

参考資料

舟本 美子