不動産投資では、金融機関などの「不動産投資ローン」を利用して物件を購入するのが一般的です。広く一般に知られている住宅ローンと似ているように感じている人がいるかもしれませんが、両者はまったく別のローン。目的や審査基準、金利などが大きく異なります。
そこで今回は、不動産投資ローンの概要や審査基準について解説します。不動産投資ローンを取り扱う金融機関の種類も解説しますので、投資物件の購入を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。
【注目記事】【今日から減額】国民年金と厚生年金「一般家庭」はひと月平均いくら受給しているか。早見表でチェック
1. 不動産投資ローンと住宅ローンの違い
ここでは、不動産投資ローンと住宅ローンの違いについて解説します。両者の違いを理解して、ご自身の目的に合ったローンを選びましょう。
1.1 借り入れの目的
不動産投資ローンと住宅ローンはともに「不動産の購入」に利用できるローンですが、物件の使用用途など借り入れの目的は大きく異なります。
住宅ローンは、自己居住用の物件を購入するときに利用できるローンです。つまり、住宅ローンの契約者本人が住む「自宅」を取得する目的であれば、利用できます。不動産投資のように契約者本人が住まずに「収益目的」で購入する場合、住宅ローンの利用はできません。
一方で不動産投資ローンは、収益物件を購入する際に利用できるローンです。不動産投資が目的である場合は、不動産投資ローンを利用することになります。
以前、住宅金融支援機構の提供する住宅ローン「フラット35」を不正利用して投資用マンションなどを購入するケースが明るみになりました。
不正利用が発覚すれば、全額一括返済を求められる可能性もあります。不正利用はせず、必ず借り入れの目的に合うローンの種類を選択しましょう。
1.2 審査基準
不動産投資ローンと住宅ローンでは借り入れの目的が異なるため、審査基準も異なります。
「自宅」の購入を目的とする住宅ローンでは、本人の属性が審査の対象となります。収入や勤務先、勤続年数、年齢、資産、過去の信用情報など、「本人の収入・資産などから問題なく返済できるか」という視点から審査されるのが一般的です。そのため、住宅ローンでは契約者本人という「個人」が重視されるといえるでしょう。
不動産投資の場合は、本人の属性に加えて物件の収益性・担保性も評価されます。そのため、物件の立地や築年数、実質利回り、入居率、家賃収入なども審査項目となることが多いでしょう。
なお、審査基準は金融機関によって異なります。金融機関によって融資結果が異なることもあるため、複数の金融機関を比較検討することをおすすめします。
1.3 金利
金利を比較すると、不動産投資ローンよりも住宅ローンのほうが低く設定されているのが一般的です。住宅ローン金利の相場は0.5~2.0%程度、不動産投資ローンの金利は1.5~4.0%程度。この差は借入金額の大きさや返済の資金源が影響していると考えられます。
住宅ローンの場合は、会社からの給料など本業の収入から返済していくことになるでしょう。会社に所属し続けていれば安定した給与収入が得られるため、金融機関が資金を回収できなくなるリスクも低いといえます。
一方で、不動産投資ローンは入居者からの家賃収入から返済していきます。空室が長引いたり、家賃が下落したりした場合に、返済が難しくなってしまうケースも考えられるでしょう。
さらに、不動産投資ローンの場合は借入金額が多額になることも多くあります。金融機関からすれば、住宅ローンよりも資金を回収できなくなるリスクが高くなるのです。
不動産投資ローンに金利の幅があるのは、資金を貸し出す金融機関側のリスクの差が理由の一的には本人の給与収入から返済していきますが、不動産投資ローンの場合は物件の家賃収入から返済をしていくことになります。
そのため、不動産投資ローンの場合は本人だけでなく物件も審査の対象となっているのです。