「老後資金はなんとなく貯めている」という方は、多いのではないでしょうか。
老後に2000万円が必要といわれても、目の前の教育費や住宅ローン、車の購入費用などを貯めるのが先、と考えがちです。
一方で、「人生100年時代」といわれている現代。今の現役世代が、年金だけで老後を過ごすのは厳しいでしょう。100歳まで生きるということは、人生の約3分の1が老後になります。
老後資金を用意するためには、まず「具体的にひと月いくらの年金をもらえるか」を把握することが第一歩。
そこで今回は、現代の一般家庭が、ひと月どれほどの国民年金と厚生年金をもらっているかを確認しましょう。
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1. 国民年金は、ひと月いくら?
公的年金は「基礎年金」(国民年金)と「厚生年金」の2階建てになっています。
まずは、現代のシニア世代の基礎年金の月額を見ていきましょう。
厚生労働省年金局の「令和元年度(2019年)厚生年金・国民年金事業の概況」によると、男女別で次の金額になります。
1.1 【国民年金】 年金月額階級別老齢年金受給権者数(男性)
- ~1万円未満:1万2467人
- 1万円~2万円未満:5万8554人
- 2万円~3万円未満:21万6991人
- 3万円~4万円未満:68万1950人
- 4万円~5万円未満:134万1815人
- 5万円~6万円未満:313万9242人
- 6万円~7万円未満:859万4057人
- 7万円以上:40万8917人
1.2 【国民年金】 年金月額階級別老齢年金受給権者数(女性)
- ~1万円未満:6万2087人
- 1万円~2万円未満:23万5046人
- 2万円~3万円未満:71万1764人
- 3万円~4万円未満:216万71人
- 4万円~5万円未満:332万1823人
- 5万円~6万円未満:462万1737人
- 6万円~7万円未満:624万1716人
- 7万円以上:147万3357人
国民年金の場合は、男女ともにボリュームゾーンが「6万円~7万円未満」とそれほど差がありません。
1.3 国民年金の平均年金月額
- 男性:5万9040円
- 女性:5万4112円
平均額:5万6252円
平均月額は5万6252円です。
国民年金を受給できるのは、第1号被保険者の自営業・フリーランス、第2号被保険者の会社員、第3号被保険者の専業主婦など。
夫、または妻が自営業やフリーランスだと受給できるのは国民年金のみです。
国民年金以外に老後資金を準備する必要があるので、早めに用意を始めると良いでしょう。
2. 厚生年金の平均受給額は、ひと月いくらか
次に、会社員や公務員がもらえる厚生年金の月額を見てみましょう。
会社員や公務員の場合、先程の基礎年金にあわせて、上乗せ部分である老齢厚生年金を受け取れます。
これから紹介する「厚生年金保険(第1号)」には、先程の老齢基礎年金の月額も含まれているので注意してください。
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出所:厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
2.1 【厚生年金保険(第1号)】年金月額階級別老齢年金受給権者数(男性)
- 1万円未満:7万2507人
- 1万円以上~2万円未満:1万2071人
- 2万円以上~3万円未満:5395人
- 3万円以上~4万円未満:1万170人
- 4万円以上~5万円未満:3万714人
- 5万円以上~6万円未満:6万7421人
- 6万円以上~7万円未満:16万3063人
- 7万円以上~8万円未満:24万4810人
- 8万円以上~9万円未満:24万2657人
- 9万円以上~10万円未満:27万3243人
- 10万円以上~11万円未満:35万350人
- 11万円以上~12万円未満:43万8683人
- 12万円以上~13万円未満:51万8659人
- 13万円以上~14万円未満:60万8992人
- 14万円以上~15万円未満:70万4371人
- 15万円以上~16万円未満:79万3583人
- 16万円以上~17万円未満:88万4219人
- 17万円以上~18万円未満:94万8543人
- 18万円以上~19万円未満:94万2288人
- 19万円以上~20万円未満:87万9047人
- 20万円以上~21万円未満:75万7129人
- 21万円以上~22万円未満:59万345人
- 22万円以上~23万円未満:41万4195人
- 23万円以上~24万円未満:28万2665人
- 24万円以上~25万円未満:19万63人
- 25万円以上~26万円未満:12万1426人
- 26万円以上~27万円未満:7万5194人
- 27万円以上~28万円未満:4万4547人
- 28万円以上~29万円未満:2万2741人
- 29万円以上~30万円未満:1万807人
- 30万円以上~:1万6346人
男性の厚生年金受給者は1071万6244人です。月平均20万円以上~21万円未満を受給している方が75万7129人でした。
3. 厚生年金の平均受給額「女性」はいくらか
ここからは、厚生年金の女性の平均受給額を見ていきましょう。
3.1 【厚生年金保険(第1号)】年金月額階級別老齢年金受給権者数(女性)
- 1万円未満:2万8004人
- 1万円以上~2万円未満:6884人
- 2万円以上~3万円未満:6万1267人
- 3万円以上~4万円未満:10万9541人
- 4万円以上~5万円未満:9万4941人
- 5万円以上~6万円未満:10万3206人
- 6万円以上~7万円未満:23万8112人
- 7万円以上~8万円未満:44万9205人
- 8万円以上~9万円未満:69万2135人
- 9万円以上~10万円未満:85万2017人
- 10万円以上~11万円未満:76万8808人
- 11万円以上~12万円未満:57万9740人
- 12万円以上~13万円未満:40万7435人
- 13万円以上~14万円未満:28万8035人
- 14万円以上~15万円未満:20万8976人
- 15万円以上~16万円未満:15万2367人
- 16万円以上~17万円未満:10万9888人
- 17万円以上~18万円未満:7万5929人
- 18万円以上~19万円未満:5万1905人
- 19万円以上~20万円未満:3万7458人
- 20万円以上~21万円未満:2万4850人
- 21万円以上~22万円未満:1万6796人
- 22万円以上~23万円未満:1万976人
- 23万円以上~24万円未満:6934人
- 24万円以上~25万円未満:3951人
- 25万円以上~26万円未満:2188人
- 26万円以上~27万円未満:1098人
- 27万円以上~28万円未満:516人
- 28万円以上~29万円未満:208人
- 29万円以上~30万円未満:144人
- 30万円以上~:375人
厚生年金では男性のボリュームゾーンは15万円~20万円未満なのに対し、女性のボリュームゾーンは5万円~10万円未満です。
国民年金では受給額にほとんど男女差がありませんでしたが、厚生年金では大きく異なります。
3.2 厚生年金の平均年金月額
- 男子16万4742円
- 女子10万3808円
平均額:14万4366円
平均月額は14万4366円ですが、男女差で見ると約6万円ほど差があります。
これは女性の方が結婚や育児、介護などで家庭に入ったり、雇用形態や勤務時間を変えたりなど、ライフスタイルの変化に合わせる傾向にある点が大きいでしょう。
厚生年金は月々の報酬月額や勤務年数、そもそも勤務先に厚生年金制度があるかなどによって左右されます。
平均月額でみると、男性は16万4742円、女性は10万3808円で、夫婦で合わせると約月27万円です。
ただし今のシニア世代に多い「夫が会社員で妻が専業主婦」のケースでは、夫16万4742円、妻5万4112円で、月額22万円ほどになります。
4. 厚生年金と国民年金だけで老後の生活費はまかなえるか
先述した通り、会社員の夫と専業主婦の妻で、毎月もらえる年金は22万円ほどでした。
これで老後資金は足りるでしょうか?
生命保険文化センターの調査によると、夫婦2人の老後の日常生活費で最低限必要な月額が平均22.1万円。
最低限必要な生活費でも、年金だけでは赤字です。
さらにゆとりある老後生活のために必要なお金は、平均で毎月36.1万円。
こちらの調査では、ゆとりの上乗せとして「旅行やレジャー」「趣味や教養」「日常生活費の充実」「身内とのつきあい」などをあげています。
老後に趣味や友達付き合いを楽しんだり、夫婦で旅行にでかけたり、子どもや孫にプレゼントをしたり。
そういった一見当たり前に思える老後の楽しみを味わうためにも、年金以外に毎月15万円ものお金が必要なのです。
5. 厚生年金と国民年金だけに依存しない!時代に合わせた働き方や資産運用を
定年を迎えた後、毎月15万円収入を得るのは現実的ではないですよね。
「自分はもう少し節約する」とは思っていても、年金のみでは必要最低限の生活費でさえ赤字です。
また、現役世代がもらえる年金額は、今より減る可能性もあります。
年金のみでは毎月赤字となると不安ですが、今から対策できることはあります。
まずは「一般家庭」の定義が、今の現役世代がシニアになる頃には変わるでしょう。
内閣府の「令和2年版男女共同参画白書(概要)」によると、令和元年の共働き世帯は1245万世帯に対し、専業主婦世帯は582万世帯。
現代は共働き世帯が主流となっています。
夫婦ともに会社員であれば、受け取れる年金は26万7929円。
最低限の老後生活費用はカバーできます。
パートであっても、2016年10月から従業員500人を超える規模の会社では、一定要件を満たせば厚生年金に加入できるようになりました。
2017年4月からは500人以下で労使合意に基づき申し出をする企業に、2022年には従業員数100人超規模の企業、2024年には従業員数50人超規模の企業で、一定要件を満たせば加入できます。
老後を見据えて、働き方を変えることも大切です。
同時に行いたいのが、貯蓄はもちろん、それ以外の方法で老後資金を準備することです。
たとえば保険や投資信託などで資産運用を行う必要はあるでしょう。
ただし投資というと、「よくわからない」「リスクが怖い」というイメージがありますよね。
そういった方に向いているのが、最近はじめる人が増えている「つみたてNISA」や「iDeCo(個人型確定拠出年金)」です。
少額から投資を始めることができ、税制優遇制度もあるため、投資の一歩として利用しやすいでしょう。今のうちからきちんと対策をとりましょう。
参考資料
- 公益財団法人生命保険文化センター「生活保障に関する調査」/令和元年度
- 内閣府男女共同参画局「令和2年版男女共同参画白書(概要)」(令和2年7月)
- 日本年金機構「令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」2022年3月24日
- 日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」(2022年2月15日)
- 厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
齊藤 慧
