資産形成の方法にはさまざまな方法があり、個人向け国債もその選択肢の一つです。個人向け国債は元本が保証されるため、安全な資産形成方法を選びたい方に向いています。特に最近は金利が上昇傾向にあるため、注目している方も多いでしょう。

本記事では、8月募集の個人向け国債の金利や7月募集で最も人気のあった種類について解説するとともに、同じく元本保証の資産形成方法である定期預金とでは、受取利子にどのくらい差が生じるのかシミュレーションしていきます。

1. この記事の3つのポイント

  •  8月分の個人向け国債は3種とも金利上昇
  •  7月人気No.1は固定5年、応募額5460億円
  •  固定5年は定期預金より受取利子で有利

 

2. 【個人向け国債】8月分の固定3・固定5・変動10の利率は何%?

2026年8月6日〜8月31日に募集が行われる「2026年8月 個人向け国債」の適用金利などの詳細は以下の通りです。なお、利率は税引前のものです。

【変動10】

  • 回号:第197回債
  • 満期:10年
  • 金利タイプ:変動金利(半年ごとに利率が変動)
  • 表面利率:1.87%

【固定5】

  • 回号:第185回債
  • 満期:5年
  • 金利タイプ:固定金利
  • 表面利率:2.06%

【固定3】

  • 回号:第195回債
  • 満期:3年
  • 金利タイプ:固定金利
  • 利率:1.71%

いずれも7月分の利率より上昇しており、依然として高い水準をキープしています。

2.1 7月分に最も人気だったのは固定5年

財務省によると、2026年7月分の個人向け国債「変動10年」「固定5年」「固定3年」のうち、最も応募額が高額だったのは固定5年です。

それぞれの応募額は以下の通りです。

  • 変動10年:3,413億円(第196回債)
  • 固定5年:5,460億円(第184回債)
  • 固定3年:1,304億円(第194回債)

固定5年が圧倒的に人気だったことがわかります。

7月分の個人向け国債の金利は変動10年が1.80%、固定5年が1.95%、固定3年が1.56%で、固定5年が最も高い水準でした。今後金利が上昇すると変動10年の利率が高い水準になると予想できる一方で、「5年間を1.95%で固定できるのは魅力」と考える方が多かったことが人気の理由の一つと考えられます。

木内 菜穂子
固定5年がこれだけ選ばれている背景には、「先の金利がどう動くか分からないなら、いま提示されている利率で確定させておきたい」という心理があると感じます。変動10年は金利上昇局面で受取利子が増える可能性がある一方、下がれば利子も減ってしまいます。将来の値動きを読むのが難しいと感じる方ほど、満期までの利率が決まっている固定タイプに安心感を持ちやすい傾向があります。どちらが正解ということはなく、金利変動リスクをどこまで受け入れられるかで選び方は変わってきます。

3. 個人向け国債と定期預金の違いとは

個人向け国債は原則として元本割れしない金融商品であり、同じく元本割れリスクのない定期預金(貯金)と比較されることがあります。

では、それぞれの特徴やメリット・デメリットを確認しましょう。

3.1 個人向け国債

個人向け国債のメリット・デメリットとして、主に以下のものが挙げられます。

【メリット】

  • 国が発行している債券であり安全性が高い
  • 最低金利(年0.05%)が保証されている
  • 1万円単位で購入できる
  • 購入した銀行や証券会社が破綻しても、資産は分別管理されているため守られる

【デメリット】

  • 発行後1年経過するまでは中途換金できない
  • 株式や投資信託に比べて利回りが低い傾向がある
  • 固定5年・3年はインフレに弱い 
  • 変動10年は金利が下がると受取利子が減る

3.2 定期預金(貯金)

続いて、定期預金(貯金)のメリット・デメリットも確認しましょう。

【メリット】

  • 金融機関が破綻しても元本1,000万円までとその利息が保護される
  • 普通預金よりも金利が高いことが多い
  • 中途解約がしやすい
  • 普通預金の残高が不足した際に、定期預金を担保として自動的に借入できる(当座貸越)

【デメリット】

  • 個人向け国債に比べて金利が低い
  • 中途解約すると約定利率より低い「期限前解約利率」が適用され、受取利息が減少する
  • インフレに弱い

このように、個人向け国債と定期預金(貯金)とでは特徴が異なるため、十分に理解したうえで選ぶことが大切です。

では、同じ金額で個人向け国債を購入する場合と定期預金(貯金)に預け入れる場合とでは、金利にどのくらいの差が生じるのでしょうか。次章でシミュレーションしてみましょう。

木内 菜穂子
個人向け国債と定期預金のどちらを選ぶべきかは、そのお金をいつ使う予定があるかによって変わります。ライフイベントなどで数年内に使う可能性がある資金は、中途解約のしやすさを重視して定期預金に、当面使う予定のない資金は、より高い利率を確保できる個人向け国債に、といった形で使い分けるのも一つの方法です。なお、個人向け国債は発行から1年間は中途換金ができない点には注意しておきましょう。