コロナ禍や相次ぐ値上げの中、家計が疲弊している家庭も多いと思います。

そんな中、低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金や、住民非課税世帯に対する10万円給付などが話題となりました。

このような制度ではしばしば条件にあげられる「住民税非課税世帯」。一体年収がいくらくらいだと該当するのでしょうか。今回は「住民税非課税世帯」にフォーカスを当てて解説します。

住民税非課税世帯とは?

しばしば助成金制度の条件にあがる「住民税非課税」とは、読んで字のごとく「住民税が課税されていない」世帯を意味します。

生計を一にする家族全員が住民税非課税である場合に、「住民税非課税世帯」となります。

そもそも住民税とは地方税の1つで、前年中の所得に対して課税される「所得割」と、個人に均等に課税される「均等割」から成ります。

所得割については、所得がなければ0円になると予想できます。

また所得に限らず誰でも一律に負担するのが「均等割」ですが、いくつかの条件を満たせば0円、つまり非課税になります。

条件は自治体によって異なりますが、ここでは東京23区の「所得割」と「均等割」が非課税になる条件を見てみましょう。

(1) 生活保護法による生活扶助を受けている方

(2) 障害者・未成年者・寡婦又は寡夫で、前年中の合計所得金額が135万円以下(給与所得者の場合は、年収204万4000円未満)の方

(3) 前年中の合計所得金額が下記の方
<同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合>
・35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下
<同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合>
・45万円以下

東京23区の場合、前年の合計所得金額が45万円以下であれば、扶養家族の有無にかかわらず非課税となるということです。

そもそも「合計所得金額」がよくわからないかもしれません。こちらは年収とは異なるので、目安となる年収もご紹介します。

「住民税非課税」になるのは年収でいくらなのか

東京23区の場合、前年の合計所得金額が45万円以下であれば、扶養家族の有無にかかわらず非課税となることがわかりました。

この「合計所得金額」とは、収入から必要経費を引いたものを表します。自営業者やフリーランスなどは、仕事にかかる経費を収入から引きますよね。

また会社員などの給与所得者の場合、必要経費にあたる「給与所得控除」を引きます。

こうして求められたものが「合計所得金額」となります。

では合計所得金額が45万円以下というのは、年収で見るといくらなのでしょうか。大阪市に居住していると仮定し、収入源や家族構成によって確認しましょう。

給与所得者

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出所:大阪市「個人市・府民税が課税されない方」

出所:大阪市「個人市・府民税が課税されない方」

  • 単身世帯:100万円以下
  • 夫婦:156万円以下
  • 夫婦と子ども1人:205万9999円以下
  • 夫婦と子ども2人:255万9999円以下

※給与所得者が配偶者を扶養する場合

年金受給者(収入は年金のみ)

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出所:大阪市「個人市・府民税が課税されない方」

出所:大阪市「個人市・府民税が課税されない方」

 

  • 単身世帯(65歳以上):155万円以下
  • 夫婦世帯(65歳以上):211万円以下

※公的年金受給者が配偶者を扶養する場合

このように、非課税になる年収は居住地や収入の種類、家族構成によっても変わるので、くわしくは自治体のホームページや窓口で確認することをおすすめします。

住民税非課税にはどのような助成があるのか

住民税が非課税ということは、所得が一定以下で生活が厳しいことがわかります。そこでさまざまな助成制度を構築し、住民税非課税世帯を支える構造となっているのです。

具体的にどのような制度があるのか見ていきましょう。

低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金

子育て世帯のうち、ひとり親や低所得などの家庭には「子育て世帯生活支援特別給付金」として児童1人あたり5万円が支給されます。

継続的な支援ではありませんが、このような給付金は折に触れて検討されています。

幼児教育・保育の無償化

幼児教育・保育の無償化により、3歳から5歳児の幼稚園、保育所、認定こども園などの利用料は現在無料となっています。

通常は0~2歳児が対象外ですが、住民税非課税世帯であれば全年齢で無料化となります。また副食費等を無料にする自治体もあります。

大学無償化(高等教育の修学支援新制度)

大学などの授業料や入学金が、免除もしくは減額される制度もあります。さらに学生生活を送るための生活費として、日本学生支援機構(JASSO)から給付型奨学金を受け取ることもできます。

国民健康保険や後期高齢者医療制度の保険料の減免

国民健康保険や後期高齢者医療制度では、所得に応じて負担する所得割と、加入者全員が負担する均等割等によって保険料が決まります。

均等割とは本来誰でも一律で同じ金額ですが、所得と世帯人数に応じて7割・5割・2割に軽減されるため、非課税世帯の場合は軽減されます。

高額療養費の自己負担額の軽減

医療費の自己負担額が高額になったときに、自己負担限度額を超えた金額が払い戻されるという高額療養費制度があります。

この自己負担限度額とは年齢や所得で何段階かにわかれるため、非課税世帯であれば医療費の負担が少なくなります。

他にも国や自治体の制度には、「住民税が非課税であること」を基準とした制度がたくさんあります。

非課税世帯への制度は必要

住民税非課税になる年収の目安や、非課税世帯への支援制度について見ていきました。

こうした制度は生活に困窮した人が受けられる権利であり、優遇とはいえません。しかし、しばしばSNSやネットでは「低所得者であることのメリット」という意見も見られます。

本来、ひとり親や失業者などで「働きたくても働けない」家庭を支援するための、セーフティネットである公的支援。

こうした支援が正しく理解され、幅広く普及していくことが望まれます。

参考資料

太田 彩子