4. 官と民の格差は「3.08%」
公務員と会社員の違いについて「年金」の観点からまとめてきました。統合されたとはいえ、まだしばらくは格差が続くことが予想されます。
最後に人事院から平成29年4月19日に公表された「民間の退職金及び企業年金の実態調査の結果並びに国家公務員の退職給付に係る本院の見解について」から、民間と国家公務員の退職給付額を比較してみましょう。
4.1 公務 2537万7000円
内訳
- 共済年金給付現価額:223万6000円
- 退職手当:2314万1000円
4.2 民間 2459万6000円
内訳
- 企業年金現価額:1453万5000円
- 退職一時金:1006万2000円
公務が民間を78万1000円(3.08%)上回っています。
こうした現状を受け、人事院からは「官民均衡の観点から、国家公務員の退職給付水準について見直しを行うことが適切である。」との見解が示されました。
5. 年金以外にも大切な視点
公務員の年金制度は2015年に厚生年金へ統合されたものの、旧制度に加入していた分は支給されます。
こうした背景から、退職給付に関する実態調査を見る限り、官民にはいまだ格差がある現状もわかりました。夫婦ともに公務員というケースも珍しくなく、世帯収入としては「恵まれている」というのは一理あります。
ただ、公務員であっても「年金と退職金で将来は安定」とは言い切れません。
官民格差の是正を目指しているため、今後の格差は埋まることが予想されます。また働き方が多様化する現代、公務員であっても転職することは珍しくなくなりました。
公的な年金制度に頼りすぎることなく、個人でも老後の備えを進めることは「公務員」「会社員」関係なく必要となります。
老後資金を視野に入れ、積極的に資産形成をしていきたいですね。
参考資料
太田 彩子