2020年10月に行われた菅義偉前総理大臣の所信表明演説で、脱炭素が宣言されました。それをきっかけに、電気自動車(エレクトリック・ヴィークル=EV)への注目が高まっています。

リチウムイオンバッテリーの実用化で状況は一変

EV自体は、新しい技術ではありません。しかしこれまであまり注目されてこなかったのは、長距離を走れる高性能なバッテリーがなかったためです。2019年にノーベル化学賞を受賞した吉野彰博士が、1990年代にリチウムイオンバッテリーを実用化させたことで、状況は一変しました。

携帯電話やスマートフォンが、ポケットに入るような小型でありながら長時間、また多用途に利用できるようになったのも、リチウムイオンバッテリーのおかげです。携帯電話が出はじめたころはリチウムイオンバッテリーが無かったので、重いバッテリーを持ち運んでいるような時代もありました。