妻や夫が亡くなったとき、遺族厚生年金はいくら受け取れる?

遺族厚生年金の受給額は、「死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3」です。

「老齢厚生年金の報酬比例部分」とは「平成15年3月以前の加入期間」「平成15年4月以降の加入期間」で計算方法が異なり、それぞれで計算します。

平成15年3月以前の加入期間

平均標準報酬月額×7.125÷1000×平成15年3月までの加入期間の月数

平成15年4月以降の加入期間

平均標準報酬額×5.481÷1000×平成15年4月以降の加入期間の月数

自分自身の平均標準報酬額を把握している方はおそらくいないでしょう。正確に計算するのは難しいため、ここでは一つの例として「夫が受給できる遺族厚生年金」をシミュレーションしてみます。

【例】47歳の妻が亡くなり、56歳の夫が遺族厚生年金を受給する場合

〈試算条件〉

  • 妻の厚生年金の加入年数:平成15年3月以前に7年、平成15年4月以降に18年の合計25年間
  • 妻の報酬比例部分:平成15年3月以前の7年は25万円、平成15年4月以降は40万円

〈計算式〉
{(25万円×7.125÷1000×84月)+(40万円×5.481÷1000×216月)}×3/4=46万7387円

つまり、年間で46万7387円が受給できる計算になります。

もし夫に18歳になる年度末までの子ども(一定の障害がある場合は20歳未満の子ども)がいる場合、さらに遺族基礎年金も受け取れます。

遺族基礎年金は78万900円で、対象となる子ども1人につき22万4700円加算され、3人目以降の子どもがいれば7万4900円ずつ加算されます。

例えば亡くなった妻に夫と2人の子どもがいた場合、遺族厚生年金に加えて遺族基礎年金として123万300円が受け取れる計算になります。

このように、遺族年金の受給要件や計算方式はかなり複雑です。「自分はいくらもらえるか」が瞬時に計算できないこともあり、「わかりづらい」と批判されることもあります。

確かに複雑ではありますが、夫でも遺族年金を受給できる可能性があることはわかりました。

万が一の時に生活を支えてくれる公的制度については、知っておいて損がありません。

ましてや民間の保険として「死亡保険」を備えている方は多いでしょう。過剰な保険金をかけることがないよう、このような制度は必ず知っておく必要があります。