遺族厚生年金の受給要件は「妻」か「夫」かで変わる
さらに「遺族厚生年金」を受給できるのは配偶者や子どもだけではありません。
優先順位が高い順に「子のある妻か夫」「子」「子のない妻」「子のない55歳以上の夫」「55歳以上の父母」「孫」「55歳以上の祖父母」となります。
「55歳以上の」というのが気になりますね。
実は夫や父母、祖父母が遺族厚生年金を受給できるのは、死亡した時点で自分が55歳以上であることが条件になるのです。
国立社会保障・人口問題研究所の「社会の変化と遺族年金のあり方」によれば、かつて「夫にだけ年齢制限が設けられるのは違憲」として訴訟を起こしたケースもあります。
しかし今でも年齢制限が残る要因としては、「現在の日本社会では、女性の自活可能性に関する社会実態は変化の途上にある」という点から合理的であるという判決がなされたことにあります。
男女平等の社会とはいえ、まだまだ正規雇用として働く妻は少ないという現状から、夫にのみ年齢制限が残されているのです。
ただし、2014年4月以降に妻が死亡した場合、父子家庭でも遺族基礎年金が受け取れるように改正されました。
今後の社会情勢により、要件が変わる可能性も十分にあると言えるでしょう。
ちなみに妻には年齢制限がありませんが、30歳未満で子どもがいない場合は5年間だけの受給になります。