近年は世界的なSDGsの広まりもあり、さまざまな企業や自治体がESG投資に取り組んでいます。しかし日本の環境課題や社会問題を解決し、持続可能な社会を作るには、それを後押しするESG投資をさらに広める必要があります。

このESG投資の普及には、資金調達先である金融機関が大きな役割を担っています。ここでは環境省が行った「2020年度ESG地域金融に関するアンケート調査」の結果を見ながら、ESG投資へ取組む金融機関の現状と課題を解説したいと思います。

ESG投資の取組は増えているが投資につながっていない

この調査によるとESGやSDGsに関連した取り組みを始めている金融機関は、前年調査の44%から66%に増えています。この数字だけ見ると、ESG投資は着実に普及しているように感じられます。

【出典】「ESG地域金融に関する取組状況について」環境省

しかし実際の行われている取組を見ると、SDGs宣言やマッピング、部門設置といった初期段階のものが主流です。

【出典】「ESG地域金融に関する取組状況について」環境省

実際の環境関連の融資につながる、金融機関の投資方針まで策定しているのはわずか10%。つまり宣言などのアクションは始めているものの、ESG投資を主要な事業の一つにする段階には至っていないのです。