【ESG投資】短期的な資金需要は少ないと捉えている
さらにこの調査結果で注目したいのが「環境や社会に好影響を与える事業(ESG投資)に対する、資金需要の将来見込み」という質問への回答です。
「将来的な成長領域であるが、短期的には資金需要は多くない」と回答している金融機関が、2019年度の37%から2020年度は52%と大きく増えています。一方で「将来的な成長領域であり、資金需要が拡大していく」と回答した金融機関は37%と、2019年度の38%からほぼ横ばいです。
つまりESG投資の将来性は感じているものの、すぐに収益を生むものではなく企業として優先的に取り組む対象ではない、と判断した金融機関が過半数を占めたのです。
これまでのESG投資は再生可能エネルギー中心
とはいえこれまで金融機関が、ESG投資にまったく消極的だったわけではありません。2019年度の同じ調査では、89%の金融機関が事業用太陽光発電を主とした再生可能エネルギー発電事業向け融資を、実施していることが取り上げられています。
金融機関のESG投資実績として唯一取り上げられ、さらに89%という高い実施割合であることから、金融機関が再生可能エネルギー発電事業に積極的なことがうかがえます。
もちろん再生可能エネルギーの普及は、脱炭素社会へ向けて必要な取り組みです。また金融機関も企業であり、電力の固定買取価格制度によって手堅く収益が見込める、太陽光発電事業に融資が集中するのも理解できます。
しかし太陽光発電事業以外にも投資対象を広げることが、これからESG投資を普及させる鍵を握るはずです。