地域金融としてESG投資に取り組む金融機関は少数
しかしこうした取り組みに至っている金融機関は、残念ながらまだまだ少数と言えそうです。
今回の調査の「重点的に取り組む地域課題や産業分野を特定しているか」という質問を見ると、「課題分野を特定し、経営計画に落とし込んでいる」と回答した金融機関は25%に過ぎません。さらに約6割の金融機関が、重点的に取り組む課題や分野を特定さえできていないのです。
こうした状況の背景には、ESG投資の将来性を十分に検証し、取組の準備をするための資金や人材が不足しているという金融機関の事情があるでしょう。また金融機関も企業である以上、近い将来の利益が見えにくい事業への融資に消極的になるのは仕方ないことかもしれません。
しかし紹介した金融機関のようにあえて積極的に地域金融に取り組み、収益化が期待できるようになった事例もあります。ESG投資のSはSocial=社会であり、そこには地域社会も含まれます。金融機関にはより地域に向き合ったESG投資を期待したいと思います。
参考資料
- 環境省「ESG地域金融に関する取組状況について」(2021年3月)
- 環境省「ESG地域金融に関する取組状況について」(2020年4月)
- 環境省「ESG地域金融促進事業」
- 環境省「ESG地域金融実践ガイド」(2021年4月)
武井 利明