円安が金融政策に影響すれば話は別だが
上記のように、円安は景気にはニュートラルだが株価にはプラスだ、というのが基本ですが、円安による消費者物価上昇が大幅になり、日銀の金融政策に影響するようになれば話は別です。
投資家の多くは「日銀の金融政策は株価に大きな影響を与える」と考えているので、日銀が利上げを検討したりすれば株価が大幅に下落するかも知れません。ゼロ金利のままでも量的緩和の量を少し減らすだけでも株価は大きく下がるかも知れません。
株価は美人投票の世界なので、理屈ではなく、投資家たちが上がると思えば上がり、下がると思えば下がるのです。そして、「金融緩和は株価を押し上げるから自分も買い、緩和終了は株価を押し下げるから自分も売ろう」と考えている投資家が多いので、そうした注文が実際の株価を動かすのです。
もっとも、円安によるインフレが日銀の金融政策を動かすほどの規模になるとは考えにくいですね。原油価格上昇等々の効果が主で、それに円安の効果が加わったことで円安が「最後の一撃」になる可能性はありますが。
今回は以上です。なお、本稿は筆者の個人的見解であり、筆者の所属する組織等々の見解ではありません。また、このシリーズはわかりやすさを最優先として書いていますので、細かい所について厳密にいえば不正確だ、という場合もあり得ます。ご理解いただければ幸いです。
塚崎 公義